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演技。


「だから僕にどうしろって言うの?」

「連れてってほしい!」

「無理だって言ってるでしょう。…はぁ。」



全く話が通じない。これ程までとは思わなかった。めんどくさすぎる。

そんな事思っていた僕は気づかなかった。
後ろから誰か近づいてきてるなんて。



「何をしている。」

「っ!!…げ。」

「月、今なにか言ったか。」

「…別に。」



現れたのは僕の天敵である鴻 皇雅。

この人僕のこと絶対馬鹿にしてるよね!
会う度に「零はお前に似合わない」とか「身長が小さい」とか「零の前だけ猫を被るな」とか!(その他諸々)


天敵と呼ぶ理由の1つが上記のこと。
もう1つは…



「女だったら好みなんだが…。どうだ、性転換手術してみるか?」

「馬鹿なこと言わないでよね!」



これまた会う度に僕に性転換手術をさせようとしてくる。
こないだなんか無理矢理連れて行かれそうになったんだから!

きっとあれだよ、女になったら敵が減るとでも思ってんだ。



「え!月って男だったの!?」



声が上がった。
…忘れたままでいたかったけどしょうがない。

吃驚目を見開いてる藤野を一睨みしてから口を開く。



「制服、男物なんだけど。」

「いやぁ、コスプレとかなのかと。」

「……誰だこいつ。」



藤野を指差す会長。怒る藤野。溜め息吐く僕。

…もうやだ誰かたすけて。
人間の僕には手に負えない。

言い争ってる2人が周りを見てないのをいいことに僕は走ってその場を去った。













はぁ、はぁ…と荒い息をして目の前の扉を勢い良く開けて共同部屋に一直線。

涙目になって名前を呼びながら大好きな人の胸に飛び込んだ。



『月、何があったの?』

「れーちゃん、僕ね…転入生に会ったの……。」



いかにも落ち込んでますな俯き顔で話始めれば僕の髪を梳く手。

気持ち良くて思わず目を細める。



「転入生、に……お友達になりたかったのに…、やだって、嫌いって…。」

『転入生なんてどうでもいいでしょ。月、私だって媛乃だっているよ。
それに…無闇やたらに愛想を振り撒いちゃだめだよ。』

「う、ん。…ごめんなさい。」

『謝ることじゃないけど。さ、媛乃誘って食堂行こうか。』

「うん!」



れーちゃんは元から転入生に興味がなかった。
だから僕が酷いことを言われれば更に幻滅すると思ったんだ。


だけど僕は勘違いしてたみたい。
後悔してももう遅い。











(君が僕を想ってくれるなら)
(なんだってできるんだよ)



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あきゅろす。
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