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帰り道。


所変わって放課後の教室。
媛乃は仕事が残ってるとかで生徒会室へ。
月は友達と用があるとかで先に帰った。



『ふぅ…。』



1人で帰るのなんて久し振り。
何時も媛乃か月が一緒だったから。

人気の無い廊下を歩いてると後ろから人の気配。
足音も無しに素早いスピードで近付いて来るそれは……、風。



『氷壁(ヒョウヘキ)、我を護る絶対壁。』



がきんっ、と背に氷の壁が出来るが奴はこれしきのことで諦めない。



『氷柱…、それは狂戯。』



片手4本、両手で計8本の氷柱を投げ付けるがそんな甘い攻撃は当たる訳もなく、虚しく壁に突き刺さった。

あー、もう面倒すぎる。



『脅かせ…水脅。』

「ごほ…っ、風を纏い拳は脅威。」

『火を纏い脚は強攻。』



相手は拳に風が渦巻き、此方は脚に火が渦巻く。

鳩尾目掛けて繰り出して来る拳を頭上を飛んで避けてから素早く背中に蹴りを射れる。

が、それも避けられた。



「特訓は欠かさずやってるみたいだなぁ、零。流石、無属性だ。さっきの術は媛乃のだな。」

『妹の術で負けるのは屈辱的だよね?会長。』



そういえば自己紹介が遅くなりました。

蓬来 零(ホウライ レイ)。17歳。
身長159cm。得意分野は武術と魔術。
マスターは香蓬院 翠。
属性は無です。



「ちっ、やる気失せた。」

『毎日毎日、よく飽きないね。』

「うるせぇ…。お前の為にやってんだよ。」

『毎晩稽古してるので心配いりません。』


ちゃっかり隣を歩く会長。
黙ってればかっこいいのに勿体無い。



「零、お前あの編入生どう思う?」



いきなり投げ掛けられた質問。
きっとあれだ、今日マスターが編入生とキスしたからだと思う。

あの人(マスター)絶対愉しんでる…。



『…属性は光。性格はそうだなー、馬鹿で単純?』

「そうじゃねーよ。翠があいつにキスしてたろ。なんとも思わねーのか。」



さっきより眉間に皺が寄ってる顔を此方に向ける会長を敢えて無視しようと思う。

視線は前に向けたまま、答える。



『師と子、それ以上の関係なんて有り得ない。』

「…俺にはそうは見えねーけど。」

『勝手に言ってれば。』



苦笑いする会長。
普段は傲慢だけれどふとした時に気をつかったりしてくれちゃうからどうしていいか分からない。

こういう所が媛乃に似てるなぁ、なんて思う時がある。








(それは戦友)
(傷つけることはしたくない)





*前

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