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呼吸もままならない

二人きりの空間。放課後の教室が世界中で一番静かなんじゃないかって思った。それくらい私と彼は本当に喋らない。向き合って座る意味はあるのか、机も淋しそうだ。

彼は夢中で何かを書いている。時折どこか遠くを見つめて考えてはそれを書き綴る繰り返しだ。

きっといま私が何をしようと彼は何も思わないんだろう。いつからだったか、彼の心は違う人でいっぱいになってしまった。



「あ、の・・・」



のどが悲鳴をあげていた。


顔をあげた彼はすぐ消しゴムを使う。新しくて違う文字が並ぶけど、それを見た瞬間まっすぐ伸びた糸が切れた。


私の息を飲む音が響く。彼の顔はきっと真っ赤に染まっているのだろう。





「あいしてる」



不器用なきみが大好き。






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