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或晴れた日


ぽかぽか陽気の暖かい日、どうにも眠たくなってこれは布団を敷くかと思ったさきカラカラと戸口が開く音がした。はて。今はまだ昼も過ぎて午後の仕事真っ最中なのだが。とんとんとリズム良く聞こえてくる音にまさかなと思えばそのまさかだった。

「……よォ」
「……あぁ」

まさかのその人はふあぁとひとつ大きな欠伸をこぼして通り過ぎて行った。着替えだろう。しばらくして予想通り黒の着流しに着替えた土方は、ごろりと俺のとなりに寝そべった。ぽかぽか。日差しが気持ち良い。

「…早番」
「そうか」

不思議そうに眺めていた視線に気付いたのだろう彼は横になったまま答えた。目を閉じて気持ちよさそうにしている。

「気持ちいい…あったけぇ」
「そうだな」

大きく切り取った窓から入るやわらかな日差しが部屋を満たしている。今にも眠りに落ちてしまいそうな彼を見てこんな風にのんびり過ごすのも悪くないなぁと思う。

「あんた、寝るなら布団敷いたら」
「めんどくさい…あー、あったけぇ…」

ガキか、と笑ってそのまま自分も横になった。

「今日、ずっと眠かった…」

それはそうだろうと思う。短くはねた髪の下うっすらと鬱血の跡を見た。自分は昨日、一昨日とここを留守にしていたのでその間何をしていたか知らないがナニならばしていたのだろう想像がつく。機嫌が良ければ良いが最悪、こいつはあのうざったい長髪も同時に相手にしなければならないだろうから。面倒臭い恋人は御免だなぁとつくづく思うがこの男はあの糖尿でなければ駄目らしいからいまいち世の中わからない。

(一度、四人相手にしたことがあったっけ)

四人というのはこの幼なじみ四人のことであるがあれは酷かったなぁとぼんやり思った。抱き潰すとはまさにあのことだ。はじめてあのニヤケ面に紹介された夜大層派手に輪姦(まわ)されたこの男は三日は使いものにならなかった。さすがに気を悪くした銀髪が四人はダメだったもうしねぇと言っていたがそれでもあの不安定な男のことだ、いつまた全員に召集がかかるかわからない。

(それでも許しちまうんだもんな)

長い睫毛を眺めていればなんだか変な気がしてきたが気持ちよさそうに眠りにつこうとしているこの男は疲れきっているのだと思えばそんな欲は消えていった。女を思いやれない野郎はクズだ。そのままよだれでも垂れてきそうなほどゆるく開いた唇に「坂田が来たら起こしてくれ」と言われはいはいと言いながら薄手の掛け物を取りに行く。戻ってその線の細い身体にかけてやる頃にはすっかり寝息が聞こえてきて自分も少し休もうと座った。あんたが気兼ねなく俺のそばで眠ってくれることが俺にとってどれほど嬉しいことか、あんたは知らないだろう。

「おやすみ、十四郎」

あんたに赦されていることが、柄にもなく。




二人堂々と寝こけてしまって帰宅した銀時に苦々しく蹴り起こされはしたが、まぁ、いいだろう。


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名前をよぶのは二人だけの時間、秘密。
20091029

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