※征服願望 じわりと広がる熱。 身体の最奥から支配されるような、満たされていくような感覚。これが何よりもたまらなく愛おしく思っていることを、 アンタは知っているだろうか。 「はぁっ、はあ、ん、ッ……」 ふるりと目の前、覆いかぶさる身体が震えた。歪んだ顔は仄暗い闇の中でぼんやりと浮かんでは消えていった。ふわふわと柔らかい銀色の髪だけが視界から離れることがない。暗闇の中でもその存在をはっきりと主張する銀に触れてみたいと思ったが、そういえば自分の手は先程彼への口淫の際堪えきれずに戻してしまった精液やら唾液やらでとても触れられるような状態ではなかったことを思い出し、中途半端に浮き上がった腕を布団に戻した。すらりとした彼の鼻筋から、ぽたり、と雫が落ちてきて、未だ冷めない熱を持て余す皮膚のうえに触れればその冷たさに今度はこちらが震える番だった。 どうしようもなく身体が熱かった。この部屋に入ってからもう何度彼の飛沫を受け止めただろう。体内に押し入ったままの屹立はまだ充分な硬度を保っていて、彼が呼吸を落ち着けようと身体を上下させる度なんともいえない気持ちになった。熱いのだ、そこが。切れてはいない、そこまで酷く乱暴されたわけではなかった。ただ激しい抜き差しを繰り返し受け止めたアナルはだいぶと限界に近いようで、擦れればちりりとした刺激に背中が波打った。それに気付いた坂田は緩慢な仕草で顔を上げる。瞬間、ぽたぽたと汗が滴り落ちてまたひくりとした。 「つれぇ?」 ゆっくりと腰を動かしながら坂田は言う。何度も注がれた精液がぐちゃぐちゃと音を立てた。 「ッ、……ッ…」 大丈夫だと、告げようとした。 だが喉は乾いてしまっていてなに一つ言葉にならなかった。掠れた呼吸に思わず噎せれば坂田はおもむろに後頭部をわしずかんで深く口づけてきた。生暖かい唾液が何度も何度も流れてきて、苦しくないと言えば嘘になるが、あんまりにも甘く染み込んでいくそれが酷く嬉しくて、夢中になって彼からもたらされる液体を享受した。熱は未だ、身体の最奥で燻っている。繋がり合う部分からじわじわとその熱さに侵食されているようだった。 「なんか、今日やべぇ」 口の端からこぼれた唾液は首筋に伝い、それを坂田は舐めとっていく。 「こんなにブチ撒けてんのに全然足んねぇの」 視線が下腹を捉えてそれからふふ、と笑う。 「お前明日腹やべぇかもな」 いびつに歪んだ彼の分身が入るそこを躊躇いなく押されれば、醜い音とともにどろりとした白濁が出てきた。 「あッ…!」 思わず出た嬌声、それと押し出された精液が自身のペニスを伝う感覚に気を良くしたのか、坂田は熱い息を吐きながら笑う。 「悪ィ、土方……あと少し付き合ってくれよ」 甘い声が耳を撫でその赤い瞳に自分が映っているのを捉えれば、腰を浮かせてねだるように擦り寄った。がしりと指が食い込むほど腰を掴まれて激しく穿たれる。目の前で火花が散った。 (最奥に出される感じは、まるで支配されていくようで、) 堪らなく、愛おしいと思うのだ。 支配されたいなどと、とんでもない戯れ事なのだけれど。アンタにならといつも思う。染め上げてほしい、アンタの好きなように、望むように。 「うッ……土方ァ…ッ」 本当に、なんだって、あんたが望むならなんだって、 俺は躊躇いなくすべてを差し出すから。 -------- 征服(されたい)願望。 20100119 [*前へ] [戻る] |