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宅飲み


「あれ何お前」
『お疲れ様です』

出迎えたのは白いペットだった。8時過ぎ、ようやく仕事に見切りをつけて屋敷へ帰ってくれば明かりはあるのに靴がなくて。不思議に思いながら部屋へ入れば例の地球外生命体がいた。

「坂田は?」
『桂さんと出掛けてます』
「そうか」

淀みなく返ってくる返事に、(まぁ予想はしていたとはいえ)、面白くなかった。桂のあのバカはなにかっちゃ坂田を連れ出しては俺を近付けさせないようにする。わかってはいるがとにかく嫌味な野郎なのだ。ため息を吐いてとりあえず着替えてくるかと踵を返せば、白から盛大に空腹を訴える音がした。


ぐう、ぐううぅぅぅ、ぎゅる、ぐるるるる


「………」
『………』

顔を見ても相変わらずのあのふざけた面なものだからいまいち読めないので。

「腹減ってんのか」

出された文字には何か適当に済ませてくれって桂さんがと書かれていて、またしてもため息だった。先程のやり過ごすためのそれとは違って呆れたそれだ。愛してるだなんだほざいてるくせにアイツは一体何やってんだ。男ならちゃんと面倒みてやれっつの(※自分のことは棚に上げてることに気付いていません)。
そのナリでは外で食事するのもいろいろ面倒なのだろうか。よくわからないが外出せず家にいるということはそういった理由なのかはたまた持ち合わせがないのか。自分の知るところではないが、とりあえずあの顔でぐーぐー鳴らしたままなものだからなんだか可哀相になってくる。

「飯作るか」

瞬間ぱっとこちらを向いたエリザベスはなんだか嬉しそうに見えた(いや、表情なんて読めないんだけど)。とりあえず着替えてから仕度すっからお前風呂洗ってきてくんね?、聞けば素直に頷いて浴室へぺたぺたと歩いて行く。見た目はアレだが主人と違ってずいぶん素直なのだ。だからといってあれのオナホ代わりにされるのはあんまり気分が良くないんだけど。


(俺も少し飲むかな…)


隊服を脱ぎながらつまみでも作るかとぼんやり考えて、あの白いのも付き合うだろうかと思った。たまにはあのへんてこな生き物と飲むのも悪くないかもしれないなぁと思ったので。


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仲は悪くない二人。酔いが回れば二人でべらべらしゃべり出すよ、桂の悪口を。
20091130

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