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※暴け劣情


やわらかく身体を受け止めるはずの布団は、ここにきて随分と湿っぽくなっていた。

「は、うぅッ……」

熱い吐息は絶えず耳の奥、纏わり付いている。普段なら喜んで迎えいれるそれも今はただ苦々しく思うばかりだ。本来なら甘く啜り泣くように響くそれに怯えが混じっているからである。

「なぁ…入らねンだけど」
「ッ!ぃッ〜〜!」

背後から土方を抱く男はおもむろにそのなだらかな肩に歯を立てた。ぶちりと音がしたので肉を切ったのだと知れる。ギリギリと息を殺して痛みに堪える男を憐れだと思いつつもその実どこか綺麗だと思った。男相手に綺麗だなんだと酷い言い草だが、彼は不思議とそれに当て嵌まるものだから仕方ない。ふるふると震える目許に浮き上がった涙を見て舐めとってやろうと顔を近付ければ、触れるよりさきに土方は崩れ落ちた。しかし横暴な恋人はそれを許さない。

「おい、寝るには早ぇーぞ」
「ふッ、う、ぐぅっ…」

左腕を捩りとって起き上がらせれば、先ほど噛み切った傷口に舌を這わせじゅるじゅると啜りはじめた。音が響くたびにぴくぴくと瞼が引きつれるのを見てなんとも形容しがたい気分になる。

「はぁっ……なぁ、さっき俺がなんつったか覚えてる?」

顔を上げた銀時の口は赤く濡れ光っていて、懐かしい彼の通り名を思い出させた。夜叉だ。

「早く入れてぇンだけど」
「ひっ!、ンんッ!」

腰を突き上げれば目の前の彼は大きく跳ね上がった。それもそのはずだ、結合部が裂けている。慣らしもせずに押し入ったそこは当然のように切れていて銀時の侵入を拒んでいた。ぐちぐちと血液のぬめりで入口を遊んでいる男はこの後も愛撫する気はないのだろう、とにかく震える彼の中に入って自分を満たしたいようだった。

「はやく緩めろって」
「あッ!」

ぱしんと尻を打たれれば衝撃でとうとう涙がこぼれた。伝ったしずくを見てなんだか勿体ないなと思った自分はいい加減この壊れた旧知に感化されてきたのかも知れなかった。

「……早くしろよ」

声色がだいぶきな臭くなったのでそろそろだ。見れば捩った腕を引いて無理に挿入させようとしている。右腕で身体を支えている土方はぶるぶる震えたままで、果たしてそれが無理な体勢によるものかこれから訪れる痛みに対してのものなのか、残念ながら推し量ることは出来なかった。ただそっと頭を撫でてやって意識をこちらに向かせる。気付いた土方と目が合った瞬間やわらかく笑ってやって、そのまま穏やかに口づけた。


(怯える必要はねぇよ)


歯列、上顎、丁寧に舐めていって舌をやさしく吸ってやった。その間乳首を押し潰しながら回してやって、片方の手でやわくペニスを握る。苦手な鈴口を人差し指でぐるりと撫でてやってそれから舌を奥へと差し出した。


(俺がいる)


ずん、という重みが土方を刺し貫けば、耐え切れなかった彼は衝撃のままに差し出された舌を噛んだ。ぼろぼろと涙がこぼれるのを見れば今すぐにでも腫れた目許に口づけてその涙を止めてやりたいと思ったが、口の中に広がる鉄の味がそれを許してはくれなかった。揺さぶられるたびに折れてしまいそうな右腕にそっと手を触れ、敷布を握りしめる掌に重ねた。うっすらと瞼を開けた土方は俺を捉えるたび申し訳ないように歪むので、笑って舌を奥に差し入れてやった。



こんなもので足りるなら、いくらでも差し出してやるよ。


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あんたの痛みを分けてほしいんだ。
20091122

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あきゅろす。
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