愛される男
そのふわふわした髪が好きだ。
やわらかく揺れるそれはなんだか掴みどころがないアンタみたいで。
日の光にあたればたくさんの色に変わって、それでもきらきらと眩しく輝くのは変わらないから少し不思議だ。
その節くれだった手が好きだ。
剣を振るうごつごつと硬いそれも肌を合わせれば驚くほど穏やかになる。手の甲から腕へしなやかにのびる浮き出た血管に、いつもドキドキしている。実は二人でいるときに頭を撫でてくれるのが好きだったりする。
その瞳が好きだ。
普段の何気ないぼんやりとした赤も好きだけど、やっぱり何かを護るときの燃え上がるような赤が好きだ。…それから怒っているときの、真っ赤に染まった瞳の縁、ぐるりとみえる哀色も好きだ。
その甘ったるい声が好きだ。
何気ない言葉がやわらかく耳に残るものだから、いつもアンタが隣にいるようで落ち着かない。やさしく囁かれたりすると自分が自分でなくなってしまう気にもなる。情事のときの、低く掠れた声も好きだ。すごくドキドキするけど、…嫌いじゃない。
アンタの体温が好きだ。
やさしく俺を包んでくれるその温度が好きだ。伝わった熱はいつも俺の中すみずみまで染み渡って、なんだかアンタの熱に浮かされていつもぼんやりしてしまう。そんな俺をやさしく見つめてくれるから、堪らなくなったりもする。
キスが、アンタが与えてくれるキスが一等好きだ。
毎回おどろくほどの甘さでもって俺を侵していくそれは、優しかったり、激しかったり、でもいつだって確かな温かさがあって俺はそれに抗うことも出来ずにずるずると染められていく。頭の中がアンタでいっぱいになるこの時が一番好きで、恥ずかしくて、嬉しくて。決して口には出さないのだけれど、いつまでもこうしていたいって思ってる。
それから、それから………
(つまりは君にメロメロって話)
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惚気。
20091119
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