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黒バス
黒子テツヤ生誕祭2013


「じゃあテツヤ、しっかり寝てるのよー」


階下から、母の声が聞こえる。仕事に行くのであろうその声を聞き、もうそんな時間か…と、虚ろな意識ながらふと思う。


「いってらっしゃい…」


聞こえるはずもない音量だが、反射的に言葉を返す。すぐ後に鍵をかう音がし、広い家に一人になったと実感する。


「…はぁ…」


一人になったという解放感に、無意識に息が漏れる。

今日は1月31日。楽しかった年末年始から1月経ち、世間の慌ただしさからも解放されてきた今日この頃。
何故そんな日の、しかも平日の昼間からベッドに入っているのか。


(…風邪菌にすら気づかれないかと思っていましたが…とんだ思い違いだったようです…)


流石の存在感の無さも、ウイルスの前には無力だったようで。まんまとクラスで流行っている風邪にかかった黒子は、元々の体の弱さから、学校を休む以外の選択肢を与えられなかった。


(…うっかり忘れてましたが、誕生日でしたね、今日。今までになく最悪な誕生日になりそうです…)


ころり、と寝返りをうつ。ベッドのスプリングと自分の荒い呼吸以外に音のしない空間にいることに、病気特有の心細さを感じ始めたが…


(…眠い…)


薬が効いてきたのか、緩やかな眠りの波に拐われそうになる。母がかけていったCDプレイヤーから、知らない音楽が流れていたが、それが何かを考える暇もなく、その波に身を任せた…




「…んぅ…」


ふと覚醒した意識を追い、緩やかに目を開ける。どのくらい眠っていたのか…CDプレイヤーからの音楽は既に止まっており、意識を落としていた時間が、案外長かったことを思い知る。


「…13時、ですか…」


母が出掛けたのが9時頃…それからしばらくして眠ってしまったということを考えると、少なくとも3時間は眠っていたことになる。


(道理で、少しお腹が空いている訳ですか…ん?)


時間を確かめるために開いた携帯には、普段あまり見ることのないメール受信マークが付いていた。しかも、今までに見たことのない、受信件数を示す[5]の数字…


(…5件、ですか…粗方予想はつきますが。)


仰向けで携帯を持つのは些か疲れるため、俯せに体勢を変え、枕に顔を埋めてメールを開く。
そこには、予想通りのメンバーの名前が並んでいた。


From 青峰くん
Sub よぉ

よぉ、体調大丈夫か?
テツは俺の影なんだからとっと治せよ

話変わるけど今日誕生日だよな?おめでとう
これからもよろしくな!



From 緑間くん
Sub 体調はどうだ?

誕生日おめでとう。
今日のラッキーアイテムはケーキなのだよ。
















早く部活に来るのだよ。



From 赤司くん
Sub 大丈夫か?

風邪だって?全く、心配したじゃないか。
黄瀬が煩いからきちんと休んで早く復帰するように。

それから、誕生日おめでとう。



From 紫原くん
Sub 黒ちーん

風邪だいじょぶー?
早く治してねぇー(^-^)/
みんなまってるよー

あ、今日誕生日だっけー?
黄瀬ちんがうるさかったから、早く復活して黙らしてー
誕生日おめでとー(*^^*)



From 黄瀬くん
Sub 黒子っちー!

黒子っちー!今日風邪で学校休んだみたいだけど大丈夫ッスか!?
みんな黒子っちのこと心配してるッスよ(´・ω・`)
今日は黒子っちの誕生日なのに風邪だなんて、風邪菌許せないッスよ!(;`皿´)

…黒子っち、辛かったらいつでも連絡してきていいっスからね、たまには俺を頼ってください

風邪が治ったら、またみんなでバスケしましょう!
そしたら黒子っちのことぎゅーってしてあげるッスVv(^▽^*)
それじゃあお大事に、ちゃんと温かくして寝てくださいね!



「これは…」


誰か一人…特に黄瀬辺りはメールの一通や二通寄越してくると踏んでいたが、堅物の緑間や面倒臭がりな青峰も送ってきてくれるとは予想外だった。
皆が自分を心配してくれるということに、不覚にも目の奥が熱くなる。


「…それにしても…ふふっ… 」


なんて個性的な文面なのだろう。真っ直ぐな性格の滲み出ている青峰、ツンデレが文面にまで表れている緑間、クールさがあり、それでも温かさを感じる赤司、普段通りさが逆に嬉しい紫原、そして、誰よりも心から自分のことを心配し、だが少しやり過ぎな気がしなくもない黄瀬。

自分は本当に幸せだ。


「…早く治さないといけませんね。」


そして彼らに直接、お礼の言葉を言いたい。そのためには、規則正しく動いて、体調を治さなければ…と、昼食を摂りにキッチンへ向かおうとすると…



──ぴーんぽーん…


「は…」

「黒子っちー!!!大丈ぶっっだ!」

「うるせぇ黄瀬。殴んぞ。」

「もう殴っているのだよ。」

「峰ちん乱暴ー。」

「おい、静かにしないか。早く見舞いをして、学校に戻るぞ。」


リビングに設置されているインターフォンの電話を取ると、そんな声。聞こえてくる会話から察するに、昼休みに学校を抜けてきたらしかった。


「…まったく、あの人たちは… 」


本当に、早く治さなくてはいけませんね。

呆れつつ、且つ笑顔を浮かべながらドアへ向かう。彼らに会ったら何と言おうか…。その前に、確実に抱きついてくるであろう黄瀬への対策が先であろうか。

足元にあった靴に素足を突っ込み、ドアを開ける。


「誕生日おめでとう(っス・なのだよ)、黒子(っち・ちん)!」



体調なんかに邪魔される誕生日なんてない。
例え誕生日じゃなくても。

一緒にいるだけで幸せな仲間が、こんなにもいる。



「…ありがとう、ございます…!」


2013.01.31

。・゜黒子テツヤ Happy Birthday゜・。




やっとかけた…黒子っち誕生日おめでとー(*^^*)
今回この話を書くに辺り、友人4名に協力していただきました!
本当にありがとうございました!
あなた方のメール文あっての作品です!



☆Special Thanks☆

赤司…雪見だいふくちゃん
青峰…たまちゃん
黄瀬…蒼空ちゃん
緑間…君夜ちゃん
紫原…私←






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