黒バス
Since…? [緑高]
お前に惹かれ始めたのは、いつからだっただろうか…
入学式。
皆が固く、緊張した声で返事をしていた中で、1人、「はーい」と間延びした声で返事をし、
後に続く者たちの緊張を解してやっていた時からだろうか。
(…校長の視線は痛かったがな…)
クラスでの自己紹介。
決まりきったフレーズで、形だけの挨拶を済ませようとしていた俺の前で、
「高尾和成でーす。バスケやってまーす!あだ名とかは特になかったんで、好きなように呼んでくださーい!
…あ、今年の目標はクラスの人気者になることでーす!」
…と、後の俺が挨拶しにくい自己紹介をした時からだろうか。
(…そういえば、あの時にバスケ部希望だと知ったのだったな…)
入学式の翌日。
話しかけるな…というオーラを出しながら、席で読書をしていた俺に、
「緑間おーはよっ!何読んでんのー?」
と、俺の手から本を奪い取った時からだろうか。
(いや、あの時は、馴れ馴れしい奴だ…と思っただけだったのだよ。)
バスケ部への仮入部。
横一列に並んで、先輩方に挨拶をしているとき、あいつは俺の横でへらへらとしていた。
しかし、誰よりも先輩方と親しくなり、帰り際には既に肩を組まれていた。
(…今思えば、一番親しくなっていたのは宮地先輩だったな。)
初めての練習。
基礎能力はまぁまぁあったが、特に瞬発力に優れていることがわかった。
それを活かしたパス回しを得意としているあいつを見て、自らの力でシュートを決める俺とは相容れない存在だと感じた。
(そう思いつつも、あいつはパスを回してきて、若干苛ついたのだよ。)
そして初めての試合。
1年のレギュラーは俺とあいつだけで、残りは全て3年の先輩方だった。
そんな試合で、誰よりも楽しそうに、生き生きとバスケをしていたのはあいつだった。
その試合は、俺の3Pシュートとあいつの的確なパスで、トリプルスコアで勝利した。
(夜の祝勝会の中心にいたのも、今思えば俺たち2人だったな…)
ふと、記憶の海から上がって気づいた。
…何故、このような高校当初からの記憶全てに"あいつ"がいる…?
「真ちゃーん!」
何処からか、俺を呼ぶ声がする。
…そういえば、この呼び方に訂正を入れなくなったのも、いつからだったのだろうか…。
「あったよ、おしるこ!
びっくりしたぜ、押した瞬間[売切]になるからさー…ラス1だぜ、これ!」
嬉々として、熱い缶を差し出してくる。
いつものように受け取ろうとし、気づく。
…この小さな手に、どれほど助けられてきたのだろうか。
…この小さな手は、どれほどの努力をして、今俺の隣にいるのだろうか。
…そしてこの手は…。
「んー?どったの真ちゃん?
…受け取ってくんないの?熱いんだけど…」
「…あぁ、悪い。」
「考え事?珍しいね、真ちゃんがこんなに悩むの。
何か相談にのれることなら、いつでものるぜ?」
心配そうに見上げてくる。
"お前とのことを思い出していた"…などと言えば、こいつはどんな顔をするのだろうか…
「いや…入学してからを思い出していたのだよ。」
「へー…。真ちゃん、入学してすぐの時なんか、すっげー仏頂面だったよなー(笑)」
…あまり変わっていない気もするが…
最初に思い出した記憶が俺だったことに、期待しても良いのだろうか…?
「高尾…お前はいつから、俺のことを見ていた?」
「…最初。最初っからだよ。俺の"目"は、いつでも真ちゃんだけを見てんの!」
真っ赤になりながら、しかししっかりと俺を見つめてくる澄んだ瞳に、魅入られる。
「…帰るぞ、高尾。」
「ちょ、真ちゃん!?言わせるだけ言わせておいて、俺には何も無いの?」
…言葉で返そうとするが、気の利いた言葉が出てこない。
言葉より態度で示したほうが、伝わるのだろうか…?
ぎゅ…
…と、自分より頭1つ分以上小さい身体を抱き締めてやる。
突然のことに反応出来なかったのか、暫くしてから、小さな抵抗を始める。
「ちょ、真ちゃん!?いきなり…っ…」
「…俺は、最初から…」
…それ以上の言葉が出てこない。
何かを言おうとするが。
言いたいことは幾つもあるはずが。
なにも出てこない。
たが…言葉にしなくても、伝わることはあるはずだ。
「真ちゃん…?」
「………。」
「…もー…。」
観念したのか、細い腕で、俺の背中に手を回してくる。
「…今、気づいたのだよ。」
「ん…?」
「…俺は…」
"最初から、お前だけを見ていた"
耳元で囁くと、抱えている体温が急上昇したのを感じた。
愛しい…この感情を知ることができたのも…
高尾、お前に出会ったお蔭なのだな…。
"いつから"…そう考えるのは、これで最後。
それを考え始めた時点で、既に答えは出ているのだから。
初書き緑高!
ぐだぐだすみません!
高尾大好き高尾愛してる!
なのに緑間視点←お前
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