ありがとう。(ライフェア) 「あ」 そう言えば、コショウが切れかかっていた。 ──しまったな、買いに行く時間があるかな。 そう思いながら戸棚を開けると、そこには未開封の真新しいコショウの瓶が鎮座していた。 ──こんなことに気づくのは、フェアしかいない。 後で礼を言っておかないと。 瓶の包装を手早く剥がしながら、俺は思った。 ××× 「あ」 そう言えば、椅子がきしんでるんだった。 昨日リシェルが座った時、「何だかギシギシいうから直さないとね」なんて話してたんだった。 ──もうすぐ店を開ける時間だし、とりあえず椅子は退けておかないと。 そう思って、わたしは食堂に椅子を見に行った。 ──あれ。 昨日の椅子が、綺麗に直ってる。 きちんと釘が打ち直してあって、揺すってもビクともしなかった。 ──こんなことに気づくのは、ライしかいない。 後でお礼を言っておかないと。 そう思いながら、わたしはそっと椅子を戻した。 ××× 向こうを助けてるつもりだけど、 気がついたらこっちも助けられてる。 そういうのって、 ちょっと良いかも知れない。 (ありがとう) (ありがとう) ■■■■ ライフェア姉弟設定でしたー。 うちは、ライが弟でフェアがお姉さんかなと思いながら書いてます。 二人は同等であってほしいので、 「男だから」 「お姉さんだから」 『わたしが(俺が)この仕事をする』 という、良い意味での相手を思いやる建前上の理由がほしいな〜と思ってますので。 あくまでお互いが同等ですので、決して「姉」としては呼ばず、「ライ」「フェア」という名前で呼んでもらってます。 [次へ#] |