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過去拍手文


 

 待ち伏せとは準備が良いな、とフェアは思った。
 崖下に落ちてすぐ、肌で空気の異変を察知したのだ。



 ──囲まれている。



 それに気付いて剣を握り締める手に緊張が伝わったことで、一気にその場は張り詰めた。緊張に気付かれたのはまずかったかも、とも思ったが、既に起こったことに後悔しても仕方はない。

 意を決して立ち上がったのが戦闘の合図になった。







 一人減って、立ち塞がる敵は5人。単純な計算だ。

 内、召喚師と思しき男が1人。残りはそれを守ろうと周りを取り囲んでいる。



 素早い動きで、剣を持った刺客が飛び出した。それを紙一重でかわして、刺客めがけて剣を振り抜く。
 次の瞬間にはそこには誰もいなかった。

 突如背後に殺気を感じて、右足を軸に体を無理矢理ひねる。
 足が、悲鳴を上げた。




 ブン



 斧が空間を裂く風圧が、頬に当たる。







 一対多数の戦闘は、死角が生まれやすく不利であるという事は知っていた。レベルの高い相手なら尚更だ。
 ──このままだと、確実にやられる。






 ふと目を上げると、召喚師が紫色のサモナイト石を掲げているのが視界に飛込んだ。







 夢中でただ前に飛び出す。
 止めなければ。






 にやり、とローブに隠れた口元が歪んだ気がした。













 ──来たれ、紫電の槌









『召喚・ゲレゲレサンダー』










 衝撃と、轟音。


 目の前も、頭の中も、真っ白になった。




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