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知らぬは本人たちばかり




「オボロはいつもベナウィにつっかかりますのねぇ」

カルラの一言に、オボロは大仰に眉をひそめた。











†知らぬは本人たちばかり†











「どうしてですの?」

こくん、と酒を透過させてから、カルラは艶めかしくオボロに聞いた。

「あの無愛想さんが眉間に皺を寄せて息せき切って貴方を捜す様を見るのは楽しいですけれど」

近付いてきた酒臭い唇に、オボロは一歩足を引いてから答えた。

「だってムカつくだろう」
「何がですの」

眉間に皺を寄せたままのオボロを気にした風もなく、カルラは先を促した。

圧倒するようにじぃっと見つめるカルラから少し目線を逸らしながら、オボロは口を開いた。

「…いつも、アイツばかり余裕そうで」

瞬時に桃色に染まった頬を見ながら、カルラは一歩退いた。

「……………………………………余裕そうに見えますの、あれが」
「? 余裕、だろう?」

きょとんとするオボロにカルラは少し苦く笑った。

「…盲目というものかしら」

あの堅物が慌てるのは、この目の前の素直な少年の事に関してだけなのに。

「ま、教えるつもりはありませんけれど」

結局、第三者はいつまでも傍観者のままで。

二人の恋路を楽しむのだ。







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