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愛の言葉(ベナハク)
 

睡眠学習。

あれって、どうなんだろうか。












†愛の言葉†










ふと、珍しくベナウィが執務室で居眠りをしている所を偶然発見してそんな事を思ってみたりした。

睡眠学習。

眠ったままでも耳に入った言葉を覚えてしまう。

それが暗示のように脳に染み付くのだろうか。

これは是非とも試してみるべき。

トゥスクルの皇、ハクオロはそんな事を考えた。



ベナウィを起こさないようにとそろそろと近付く。

ハクオロは、すぐ傍まで来ると、手のひらを横にして口元に当てた。

そして唇をベナウィの耳元に持ってゆき。

「"政務は全て私が引き受けましょう"」

びくっ
ベナウィの身体が一瞬揺れた。

その反応にハクオロの肩もびくりと揺れるが、ベナウィに起きる気配はない。

ハクオロは安堵の息を吐いた。

そして、もう一度。

「"聖上は休んでいてください"」
「"どうかエルルゥ様たちと息抜きでもしてください"」
「"聖上の御身が心配なのです"」

ハクオロはどんどん調子に乗ってきた。

ベナウィの反応は――未だ、ない。

そして。



「"私は聖上の事を慕っておりますから"」





「…………」
「……………」


部屋の中を妙な空気が流れた。

「……これはなんだか違うな」

そうぽつりと呟くと、ハクオロはそろりと立ち上がった。

「まぁ日頃無理をさせているしな
今日は寝かせておいてやろう」

散々遊んでから何を言うのか。
しかし此処にそれを突っ込む人はいない。

ハクオロは、書類を数冊持ってそろそろと部屋から出て行った。







ハクオロの足音が随分遠のいた頃、執務室でひとつの陰が動いた。
勿論それは言わずもがな、ベナウィだ。


その頬は、微かに赤らんで。

ベナウィはゆっくりとした動作で自身の口元を覆った。


「…………聖上」


その口から出てきたのは、敬愛する彼の人。



さあ、睡眠学習の成果は?






20070515
2222hit記念作品でした

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あきゅろす。
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