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旦那専用俺様 *

佐助×幸村





結ばれることのない恋仲を、死ぬまで続けるのが恐い。いつか自分は壊れてしまうだろう。それでも貴方が望むなら、俺は貴方を愛し続けよう。

だって俺は、






「もう止めないか、佐助」

唐突に聞こえた主の声に、佐助は驚いて振り向いた。半裸に胡座という奇妙な格好をした青年が、布団の上からこちらを見詰めている。深夜の暗闇の中、僅かな灯りが彼の寂しそうな表情を照らし出す。
佐助は着けかけていた金属の塊を床に置いた。ゴトリ、重量感のある音が静寂に呑み込まれていく。

「いきなり何言ってんのさ、旦那」

佐助が問うと、その当人は寂しそうな表情に、険しさを加える。

「某はただ…佐助、お主が」

青年は言葉を濁すと、身を大きく震わせて、手近な掛け布団を引き寄せ肩から掛けた。鼻を啜る音がやけに響く室内。
呆れたように息をつくと、佐助は気だるい身体を引きずり青年の横に行く。腕を伸ばし、包み込むように彼を抱き締めた。青年は一瞬、全身を強張らせたが、身体に伝わってくる佐助の体温を感じ、静かに身を任せた。
暖かい腕の中で密かに部下を見上げる青年。しかし直ぐに俯いてしまう。

「お主のその顔は、一体何なのだ」

「え、俺様の顔?そこ否定しちゃう?」

心外だ、そう言いたげな表情の佐助は、主の顔を覗き込む。その顔を見た佐助は溜め息をつきながら、目を背けた。

「旦那こそ、なんて顔してんのさ」

今にも泣き出しそうな青年の肩を、少し乱雑な手付きで撫でる。

「…お主は、某と情を交わすのが嫌か。触れ合うのが嫌か。」

畳と布団の境を泳いでいた視線を佐助に戻す。突然の問いに驚く佐助。睨み付けるような、威嚇的な瞳の奥に、潜む不安。それを見抜いた佐助は抱き締める腕に力を込める。

「そんなこと無いよ。俺様、旦那が大好きだし…」

「お主の顔に書いてあるのだ…もう嫌だ、と!」

佐助の言葉を遮り、怒鳴り付けた青年は、己を包む胸を強く押した。様々な衝撃が一度に押し寄せてきたことに、思考が停止した佐助は無抵抗に尻餅をつく。二人の間に距離が空き、沈黙が流れる。

自分が主を不安にさせている。そう気付いた佐助は、再び青年を力強く抱き寄せた。当然驚いた青年は、腕の中で暴れ始める。

「何をする!離せ、佐助……っ!」

強引に唇を塞ぐと、彼の純粋そうな目が見開かれるのが分かった。次第に弱まる青年の勢い。微かに紅潮した頬が色気を放っている。息が詰まりそうだ。そう思い、漸く唇を離すと、熱い吐息を洩らして佐助に身を預ける青年。
濡れた唇を今度は彼の耳元へ近付け、忍は低い声で囁いた。

「俺は旦那だけのモノですから」




(心配なんか要らない)
(俺様は死ぬまで旦那だけのモノ)


fin








初のバサラ小説がこれですか。なんで幸村の名前を出さなかったんだろう。それにしても佐助好きだよ私←

→)

あきゅろす。
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