secret for you T
「今日は特別な日、ですからね。」
「今日だけ…だ。」
「とりあえず食おーぜっ!!」
「はい、座って座って。お姫様…。」
*
風に泳ぐ桜の薄紅色が青空に映えて、今日の天気の良さを、より一層引き立てる。私は窓辺に一人腰を下ろして、緩やかに流れる雲を目で追った。
隣の部屋は、今朝からずっと煩い。三蔵の怒鳴り声に、悟空と悟浄の喧嘩する声、八戒の笑い声。たまに、気持ちの良いハリセンの音なんかも聴こえてくる。
その騒がしい音や気配だけで、妙な安心感を手に入れる自分がいる。その一方、“今”私が皆と居れないことに寂しさともどかしさを感じる自分もいた。
何故だか、今日の朝から四人の様子がおかしい。皆の部屋にも入れてくれず、私は自室に閉じ込められている。頻りにそわそわしたり、三蔵なんか、いつもの倍の煙草を吸って、二回も悟空に買いに行かせた。
私は忘れていた。
今日が、何の日だったのか。
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