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illuminations ring 







『誕生日おめでとう、your nameちゃん!』

突然のお祝いに驚いて、入口で固まっていた私の手を引いてくれたのは、優しく微笑むリザさんだった。
ここは東方司令部。
日頃忙しく大佐達が駆け回る仕事場は、見事にパーティ会場と化していた。
テーブルの上にはたくさんの料理。
その周りには楽しそうに笑う皆の姿。

「誕生日…?私の…?」

部屋の中を見回し私は呟く。
そんな私を見て、手を引いてくれていたリザさんが頷いた。

「忘れていたの?」

意外そうに聞いてくる彼女に、首を振ってみせる。
むしろ、皆が覚えていた事の方が意外で。
でも、素直に嬉しい。

「ありがとうございます…!」

そう言って深く頭を下げると、部屋の雰囲気が一層暖かくなったのを感じた。
和やかな空気に浸っていると、大佐が歩み寄ってくる。
大きなバラの花束を持って。

「誕生日おめでとう、your nameくん。」

流れるような仕草で、私に花束を差し出す大佐。
何とも大佐らしい演出に、ハボックさんは笑いを堪え、リザさんは眉間にしわを寄せている。

「大佐、あまりyour nameちゃんに近づかないで下さい。」

「なんだ中尉、妬いているのかい?しょうがないな…君にも一輪…」

言って、花束から一輪抜こうとする大佐を、リザさんの鋭い眼が捕らえる。

「結構です。お気遣いなく。」

そのたった二言に肩を小さく震わせた後、気を取り直すように私を見る大佐。
彼はもう一度、私におめでとうを言い、鷹の眼から逃げるように部屋の隅に行ってしまった。


その後しばらく皆との食事を楽しんだ私だったが、いつになっても来ない彼がどうしても気になって、終始上の空でいた。

「…遅いわね、エドの奴…。」

私の横でサラダを食べていたウィンリィが見兼ねて言う。

「そうだね…何やってるんだろう、兄さんってば。」

それに答えるのは、まるで自分のことのように申し訳なさそうなアル。
ごめんね、と謝ってくる彼に私が、気にしないでと言おうとした刹那。
部屋の扉が勢いよく開いた。
やっと来たかな、と思ったのも塚の間。
おもむろに手首を掴まれたかと思えば、強い力で引かれる。

「遅れてごめん!ちょっとyour name借りてくな!」

長いこと待ったように感じられる、エドの声。
触れている手と手が嬉しくて、熱い。
皆の制止の言葉もろくに聞かず、二人で部屋を飛び出した。

「エ、エドっ?」

「遅れてごめん、…your name」

エドに連れられるままに走っていたら、いつの間にか、東方司令部の中庭に来ていた。
クリスマスが近いこともあり、暗い夜にイルミネーションが美しく輝いている。
その光を反射して揺れていた金髪が動きを止める。

「本当に遅れてごめんな。」

そう言って私を振り返る彼にイルミネーションの光が映し出され、幻想的な光景に静かに心臓が跳ねた。

「誕生日おめでとう、your name。…これ」

微笑みながら差し出されたエドの手には、あらゆる光を反射するシルバーネックレスが載っている。

「…もらっていいの?」

「あ、当たり前だろ!お前の誕生日なんだから……貸してみ、着けてやる」

そう言って私の背中に回ると、少し雑な動きでそれを首に着けてくれた。
胸元で光るシルバーのネックレス。
シンプルなデザインのシルバーリングが通ったネックレスは、様々な色の光を反射している。

「どうかな…似合う?」

恐る恐るエドを見上げると、彼は満面に笑みを浮かべて頷いた。
しかし一変して、真面目な表情になる。

「…その、なんでネックレスにしたかって言うとな?」

一旦区切り私の様子を伺うエド。
そんな仕草が可笑しくて、思わず口元を緩ませて相槌を打つ。

「その、………こ、これ、恥ずかしいんだけど、言わないと俺がどんな気持ちでいるか、your name分かんないだろ?」

「う…うん…?」

「だから言うけどよ、いつか俺はお前にその指輪を嵌める…でも、それは今じゃねーから、それまで預かってもらう為に、ネックレスなんだ…。わ、分かったか!?」

そう言い切ったエドの表情は、イルミネーションの光か、はたまた寒いからか、真っ赤に染まっていた。
きっと私も負けないくらい真っ赤なんだろう。

分かったのか、と再び確認する彼に、分かったよ、と言うと、

「…そうか。」

などと意気消沈した様子で。
それから少しの間、無言が続いた。
大分落ち着くと、彼のぼんやりとした視線は、足元からネックレスへと移る。
そんなエドを見ていたら、余裕が出てきた私に何故か悪戯心が芽生えた。
そっと彼に近づいて、「今嵌めてもいいよ」と間近で囁くと、非常に驚いた顔で私を見る。
次いで拗ねたような顔になり。



「分かってないだろ、俺が言ったこと…」

「分かってるよ?」

「……your nameが好きすぎて、俺が臆病になってることをか?」

「…っ好きすぎて……!?」


誕生日会場に取り残された彼らが、意地の悪い笑みを浮かべていることも知らず、私たちはひたすらに照れあっていた。



fin...




(お誕生日おめでとうございます。
こんな文で大変申し訳ないですが、お祝いさせて頂きます^^
千夢様が幸せになれますように!)




おまけ。

「やあ、鋼の。」
「おかえりyour nameちゃん。」
「ただいま……?」
「な、なんだよみんなしてニヤニヤ…、中尉まで」

「好きすぎて…っスか。やるなあ大将!」
「「っな…!?」」
「やめたまえハボック。若い二人をからかうんじゃない。」
「大佐…その顔では説得力がありません。」
「みっ、見てたんだな……こんのアホ大佐!!」
「まあまあ。はっはっはっはっは」


おわり。
(ご、ごめんなさい…!!←)

→)

あきゅろす。
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