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〇短編アトリエ小説〇
「思い」と「願い」…マナケミア2より




今日もいつものようにアトリエのテーブルの所で座っているのはリリアとウィムだ。何やら話し込んでいるようである




「もう、ロゼったら相変わらず素直じゃないんだから…うふふ…」


「お嬢様、お嬢様」


「まぁ、ロゼがそこまで言うなら…」


「はぁ…お嬢様が妄想にふけっているからロゼさんいっちゃいましたよ」




どうやらリリアがいつもの(?)妄想をしている所にロゼが来ていたようだが、リリアは妄想モードに入っていたので気付かなかったのだ




「ちょ、ちょっと!ロゼが来ていたのなら教えてくれてもいいじゃない」


「何度もお嬢様を呼びましたよ。でもお嬢様がなかなか気付いてくれなかったので、ロゼさんいっちゃいました。何か渡すものがあったみたいですよ」


「そ、そんな…ロゼに嫌われた…」




リリアはかなり落ち込んでいるようである。それもそのはず、ロゼが渡しにきたものは以前から約束していた桜の名所観光チケットだからである

以前アトリエで話をしていた時にリリアが行きたいと話をしたら、ロゼと一緒に行くという流れになったのだ(その時は他のメンバーの作戦でもあったのだが…)

そこでロゼがチケットをとってきてくれたという訳である




「もう、ロゼはわたくしと一緒には行ってくれないわ…」


「はぁ、お嬢様…今ならまだロゼさんも近くにいると思いますから、追いかけてみてはどうですか?」


「そ、そうね。ロゼにちゃんと言わないと!でも余計に嫌われたりしたら…」


「お嬢様は心配しすぎですよ。大丈夫です、ロゼさんはきっとお嬢様のことをわかっていますよ」


「そ、そうよね。大丈夫よね!よし、行ってくるわ」




リリアはそう自分に言い聞かせると、凄い勢いでアトリエを飛び出していった




「ロゼはどこに行ったのかしら…あ、いたわ。ロゼ〜!」




どうやらロゼはアトリエ前廊下で誰かと話しているようで、リリアにはまだ気付いていないみたいである。そこにリリアが近づいていくと…




ロゼと話していた女生徒が何も言わず、突然ロゼに紙を渡したのだ。その女生徒はそのまま走るように去っていってしまった。その時ロゼはリリアに気付いたようで…




「あ、お嬢様。この間のチケットとれましたよ」




そう言って近づいてくるロゼ。しかしリリアは…




「ロゼ…本当はわたくしなんかとお花見にいくのは嫌なのよね…」


「は、何言って…」


「いいの、わかっているから。わたくしはロゼには何もしてあげられないから…いつも足を引っ張って助けてもらってばかりで…」




わけのわからないといった表情のロゼを無視してリリアは話を続けていく。しかし…




「お嬢様、それ以上言うと本気で怒りますよ。俺の気持ちを無視しないで下さい!」


「え…?」




リリアが何かを言おうとした瞬間、ロゼが突然リリアの口を奪った




「ん…」




そのまま1分くらいが経過した頃にロゼは口を放した




「いつもお嬢様は俺の気持ちをわかってくれなくて…お花見だってお嬢様の姿を想像しながら楽しみにしてたんですよ」


「ロゼ…」




ロゼの本音が嬉しくてリリアは今にも泣きだしそうである




「これでも俺は、お嬢様のことは…」


「ごめんなさい…わたくしがもっと素直になれないから…。でもロゼのことを想えば想うほど、自分がどうすればいいかわからなくなるのよ…」




そこでリリアが泣き出してしまって、言葉に詰まるロゼ。そのまま包み込むようにリリアを抱きしめる。ロゼはリリアの本音が嬉しくて、リリアへの気持ちでいっぱいになっていた。自分がずっとリリアのそばにいたい…そう想っていた




リリアも泣いたまま、ロゼにぎゅっとしがみつく。それはありのままのリリアの気持ちのあらわれである。しかしそこへ…




「あ〜、ロゼがリリアちゃんを泣かしてる〜」


「ぷに、ぷにに、ぷに〜」


「ぷにぷにの風上にもおけないな…と妹は怒っています」


「ふ、素直に白状したほうが身の為だ…どういったシチュエーションだ」




そこにやってきたのはアトリエのメンバーだ。どうやらウィムが話したようである。しかしリリアはまだ泣き止む気配はない




「はぁ、どうしていつもこんなことに…」




そんなことをいいながらもロゼの瞳はリリアを見つめたままである。もちろん後日リリアと2人でお花見に行ったのは言うまでもない。そこでもいろいろとあったのだが、それはまた別のお話…




〜おまけ〜




「そういえばロゼ、女の子から何かもらっていたようだけどあれは何だったのかしら?」


「あれですか?あれは戦闘技術科で出た宿題ですよ。俺の分だけ足りなかったから届けてくれたんですよ」


「なんだ、そうだったのね。わたくしはてっきりラブレターかと…」




その会話を聞いていて、ユンが突然口をはさんだ




「主、油断してはいけない。そういうシチュエーションから発展することもあるからな。経験上…」


「はぁ…お嬢様そんなに真に受けないで…って…」


「その場合はわたくしはどうすればいいのかしら?」




ユンの話に真剣になるリリア。ロゼはそんな光景を見ながらもリリアのことが可愛くて仕方がないのだった




「だから、お嬢様が好きなんですよ…」






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