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〇短編アトリエ小説〇
秘密の部屋デート(風邪の受難編)…マナケミア2より




授業が終わっていつものようにアトリエに向かって歩いているのはロゼとエトだ。何やらロゼはそわそわしているようである。




「ね〜ね〜ロゼ、今日は機嫌いいみたいだけど何かあったの?」


「ん、なんでもな…」




ロゼがそう言いかけた所でエトが突然大声をあげた。それも周りに響き渡るくらいの大声を。




「わかった〜!さては今日はウルリカちゃんと何かあるんでしょ。最近のロゼがそんなに機嫌がいい時はたいていウルリカちゃん絡みだもんね〜」


「ち、違うっての。それにそんなに大声で喋るなって…。周りに見られてるだろ…」




ロゼのいう通り、2人は注目の的になっていた。だかエトは…。




「え〜、だってロゼが素直に教えてくれないから〜」




エトはロゼが素直に薄情するまで大声で話すのを止めることはなさそうである。




「ほら〜、はやく言わないとますます人がきちゃうよ」


「あ〜もう、わかった。話すからはやくアトリエに行くぞ」


「さっすがロゼ。じゃ、はやく行こうよ〜」




エトははやく聞きたいらしくロゼの腕を思いっきりを引っ張る




「わかったから引っ張るなって」


「だって〜、はやく聞きたいんだもん」




そして2人がアトリエにつくと既に全員揃っていた。




「え〜っ、ウルリカちゃんとデート!?」


「ちがっ…デートじゃなくて買い物にいくだけだ」


「そ、そうよ!ただの買い物なんだから。変なことを言わないでちょうだい!」


「お嬢様…ずいぶんと直球な反応ですね…」


「ぷに、ぷに、ぷにに〜!」


「そんなことを言って…本当は綿密に計画しているのではないか…と妹は興味津々な様子で聞いています」


「だから…ただ買い物に誘われただけだって…」


「もう、案外ロゼさんも隅におけないんですね」


「だから…」




そんな風にみんなに言われることで少し照れているロゼ。やはりウルリカのことを意識しているのだろう。そこへずっと黙っていたユンが口を開いた。




「ほう、買い物…ショッピングか…。ふむ、そのシチュエーションならいい作戦があるのだが…」


「お前もいきなり変なことを…」


「どうしてもというならアトバイスしてやるが…どうだ?」


「全力で遠慮しておく」


「そうか…それは残念だ…」




何故か心底残念そうなユンであった。と、そこへ誰かがやってきた。




「ロゼのにーちゃんはいるか?」


「ああ、いるぞ。どうかしたのか?」




突然アトリエにやってきたのはエナだった。何かあったのだろうか。だが1番最初に反応したのはエトだ。




「エナ〜、あたしに会いにきてくれたの」


「このバカ姉貴。ロゼのにーちゃんに用があるっていっただろ」


「ちぇ〜、つまんないの」




エトはそう言いいながら退屈そうにアトリエの奥に歩いていった。そこへロゼがどうかしたのかという感じでエナに近づいていった。




「で、今日はどうしたんだ。俺はこの後…」


「そのことなんだけどよ…実はねーちゃんが風邪でダウンして…」


「なっ…」




エナが全部言い終わる前にロゼは走ってアトリエを出ていってしまった。行き先はもちろんウルリカの部屋だ。




「はぁ…はぁ…」




走ってウルリカの部屋の近くまできたロゼは少し立ち止まって息を整えている。そして呼吸が落ち着いた頃にウルリカの部屋に近づいていき、ドアをノックした。




コンコンー




「誰?」




中からウルリカの声が聞こえた。どうやら起きているようである。




「俺だ…」


「ロゼ…?」


「ああ、中に入るぞ」


「…うん」




そしてロゼが中に入っていくと、少し赤い顔をしたウルリカがいた。




「あ、今日はごめんね。わたしから誘ったのに…。ロ、ロゼ…?」




ロゼは無言のままウルリカに近づいていき…




「え…ちょ、ちょっと…」




そのまま後ろに回って、背中からウルリカを抱きしめた。




「…大丈夫か?」


「…うん、ありがと」


「ウル…お前が風邪だって知ってすごく不安になった…お前が心配でいてもたってもいられなくなった…」


「ロゼ…」


「俺は…ウルリカのそばにいないと不安なんだ…。俺は…ウルリカのことが…」


「ロゼ、待って!」




そう言いかけた所をウルリカが制す。




「それ以上は…言わないで…。だって…わたしから言いたいから…」


「…」


「…だから…今はこのままでいてほしいな」


「…わかった」




そして後ろからウルリカを抱いたまま2人で一晩を過ごした。




3日後ー




「まさかこんなことになるなんて…」


「ロゼ、ごめんね。わたしのせいで…」




ウルリカの風邪が治ったら、今度はロゼが風邪で倒れたのだ。しかもかなりの高熱で…




「何か効きそうな薬を調合してくるから待ってて」




そう言って部屋を出ようと立ち上がったウルリカの腕をロゼが掴んだ。




「俺は…ウルリカがここにいてくれればいいから…どんな薬よりもそのほうが俺にはいい…」


「ロゼ…わかった!じゃあとっておきの薬をあげるわね」




何やら後ろを向いたあと、ロゼに向き直って…。ウルリカは唇を重ねた…それも長く…長く…




「んっ…はぁ…」




そうしてウルリカは名残惜しそうに唇をはなした。ロゼもぼーっとした表情になっている。ところが…




「…ん?」




何やら口の中に異変を感じたようでロゼが突然顔をしかめた。




「お…おい…なんだこの口の中に広がる味は…」


「それはおまけだよ。前にクロエにもらったどんな病気も消えるようによくなるっていう秘薬の…」


「それは…いろいろやばいんじゃないか…」


「大丈夫…はやくよくなってくれないと…告白…できないでしょ」


「でもこれは…やば…」


「あ、あれ?ロゼ?どうしたの」




どうやらロゼは気絶してしまったようだ…。クロエの秘薬には一体何が入っていたのか…




「ロゼ〜。すぐに治すから待ってて〜」




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あきゅろす。
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