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〇短編アトリエ小説〇
ミーツェの花婿さま…イリスのアトリエ・エターナルマナ2より
「それじゃあ交易都市グラードの魔法店の店長さんの所までお願いね」


「おいらにまかせてよ!ヴィーゼちゃんの為に大急ぎで言ってくるぜぃ」




そう言って工房を去っていくポウを見送るのはヴィーゼとイリスだ




「お姉ちゃん、お腹すいた…」


「あ、もうこんな時間なのね。そろそろお昼にしよっか」


「うん…」




今日も平和なアトリエだが、ポウにとってはそうではないのだった…




「はい、ありがとう。また何かあったら頼むわね」


「いつでもおいらにまかせておくれよ!」




ヴィーゼに頼まれていた品を渡して魔法店を後にするポウ、なぜかかなり機嫌がよさそうである




「さてと…急いでヴィーゼちゃんの所に帰らないと。今日こそヴィーゼちゃんと一緒に…」




そんなポウの背後に迫る影があった…




「ポウさま〜!」


「ミ、ミーツェ…!今日は突然どうしたんだい?」


「ポウさまがいつまで経っても戻ってきて下さらないので、後をつけてきたんです!さぁ、はやく帰りましょう」


「ちょっとおいらは用事が…」


「駄目ですよ。もう料理まで準備したんですから!」


「料理だけは勘弁しておくれよ〜」




なんとかミーツェから逃げ出そうとしたポウだが、そこはミーツェのほうが1枚上手で既にツェッテル村は目の前だ




「はなしておくれよ〜」


「そんなにはしゃがなくてももうすぐですよ」


「助けて〜!おいらはヴィーゼちゃんの所にいくんだ〜」


「…」




そこでミーツェの足が止まった。そしてそのままうつむいてしまった…




「ポウさまはあたしと結婚してくれたのに…試練までしてくれて…。なのにいつまでたっても帰ってきてくれなくて…」


「ポウさまは…あたしのこと、嫌いなんですか?」




いつもは見せない暗い表情を見せるミーツェに少し戸惑うポウ…




「あ、あれは…」


「間違いだなんて言わないで下さいね!あたしが聞きたいのはポウさまの気持ちなのです」


「お、おいらは…」




そこでひと呼吸おいて、ミーツェのほうに向き直るポウ




「おいらは…ミーツェのことは嫌いじゃないんだ…。ただ…まだ自由でいたいんだぜぃ。」


「だけどこれからは…ミーツェの気持ちも考えて…たまにはツェッテル村に帰ることにするぜぃ!」


「ポウさま…」




そうして一緒にツェッテル村に向かったポウだが…




「た、助けておくれよ〜!」


「ポウさまの為につくったんです!全部食べて下さいね」


「いくら魚料理でもこれはおいらには無理だね!うん!」


「そんなこと言わずに食べて下さいよ、ポウさま〜!」




そう言うミーツェだが、テーブルの上にある魚料理は…島魚の丸焼きだ…しかも「全部見渡せない」の評価がついた大物の…




「ポウさまの為に22匹準備したんです!たくさん食べて下さいね」


「これだけは勘弁しておくれよ〜!」




その後のポウはいつも通り逃げ回っているようだが、たまにはツェッテル村に立ち寄るようになったという…


そしてミーツェも…




「今日は肉料理に挑戦してみました!」


「に、肉料理…?」




ポウの目の前には野性の腐肉が置かれていた




「少し前にツェッテル村の近くを通った行商人さんと物々交換で手に入れたんですよ、これならポウさまも喜ぶかと思って…」




そう言って少し照れるミーツェだがポウはそれどころではない




「これはおいらには食べられないね!うん…絶対…」


「さぁポウさま、はやく食べて下さいね」




満面の笑みを浮かべてポウの表情を伺うミーツェだが、ポウは…




「み、ミーツェ…これはちょっと…」


「なんですか?ポウさま」


「う…おいらも男だ、食べてやるぜぃ〜」


「ううっ…!やっぱり駄目だ…」




そう言ってポウは倒れた…だがミーツェはすごく嬉しそうである




「ポウさま…倒れるくらいおいしかったんですね!」


「ヴィーゼちゃん…おいらはやったよ…がくっ…」




こうして今日もポウはツェッテル村のミーツェの所で1日を過ごすことになる…




「だから…ポウさまは大好きですっ!」




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あきゅろす。
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