〇短編アトリエ小説〇
再開〜アンナ編〜(後編)…マナケミア2より
アンナが教頭室に向かっている頃、グンナルは新調した機械剣をチェックしていた
「俺様の新しい剣にも名前をつけてやらんとな…グンナルソードはストレート過ぎるか…」
「グンナルブレイカー…あと1歩だな…」
そんな感じで剣を見ていたグンナルだが、何かの気配を感じとったようで突然立ち上がった
「この気配・このオーラ…まさか…」
そういいながら以前つくっておいた隠し部屋に剣を片手に持って入っていくグンナル
「これでやり過ごせる相手ではないと思うが…まさかこんなにすぐにこの剣の出番がくるとはな」
今のグンナルはまさに追い詰められる悪役のような感じである。その頃教頭室の外ではアンナがドアをノックしようとしていた
「変ですね…間違いなくこの気配はグンナル先輩のものなのですが…」
グンナルもアンナも学生時代からのこともあり、お互いの気配を感じとることが出来るのだ
「とにかく入ってみましょう」
教頭室に入ったアンナだが、グンナルは隠し部屋に隠れているので誰もいない
「おかしいですね。ここから気配がするのですが…」
アンナはひと呼吸おいた後、精神を集中し始める
隠し部屋にいたグンナルが動いたのはそれから10分後のことだった
「気配がしなくなってから大分たったが…そろそろ様子を見るか」
いつにもまして慎重なグンナルが隠し部屋を出た瞬間
「お久しぶりです、グンナル先輩」
その言葉と同時にグンナルの首筋に向けられたのは今までにみたことがない刀だった
「ぬおっ、やはり貴様かアンナ。気配を消すとは卑怯な」
「グンナル先輩もそんな所に隠れていたのですから、それはお互い様です」
そう言ってグンナルを黙らせるとアンナは話を変えた
「たまたま所用の帰りにアルレビス学園の近くを通ったものですから、ご挨拶にと立ち寄ったらグンナル先輩をなんとかしてほしいと頼まれたので」
そういいながらもアンナはまったく隙を見せない。一方のグンナルの表情はいつもと変わらない感じだが、何かたくらんでいる雰囲気が漂っている
「なんでもかなり無茶なことを生徒にやらせていると聞いたので、これは私が更正させようと思って探しにきたんです」
「ふん、会ってそうそうどんなことを言うかと思えば相変わらずだな」
「グンナル先輩も相変わらず無茶をなさっているようで…」
「気配を消すなどとは悪のすることだぞ」
「私はグンナル先輩に対してはどんな手段でも使いますから」
余裕の表情を浮かべるアンナだが、グンナルには何か手があるようだ
「その姿勢はさすがだが、俺様をなめてもらっては困るな。ツメが甘いぞアンナ」
グンナルがそういうとアンナの体が自由を失う
「ど、どうして…」
「ふはははは、俺様が隠し部屋で何もせずに出てくると思ったか」
グンナルは隠し部屋を出る前に体が痺れる特殊な薬品を部屋いっぱいに充満させていたのだ。この薬品は初めての人にしか効果はないので、既に耐性のあるグンナルには無害だったのだ
「まさか、そんな…ふ、不覚…」
膝をついて座り込むアンナにグンナルは近づいてゆく。そんなグンナルに少し身構えるアンナ
「な、何を…」
「ふぅ…これでゆっくり話が出来るな」
「え…」
グンナルの意外な言葉に思わず少し驚くアンナ
「久しぶりの再開でいきなり襲いかかるからのんびり話もできん」
「グンナル先輩…」
その後、二人はお互いの近況報告などをしたりしてしばらく一緒の時間を過ごした
「グンナル先輩は相変わらずですね。でもあまり無茶はしないで下さい。生徒がかわいそうです」
「貴様がそれを言うか…」
そんな感じのまったりした会話をして過ごしていたが…
「私、そろそろ帰りますね。これから道場に行かないといけないですから」
「…そうか、今度は俺様が出向いてやろう」
そういうグンナルだか少し名残惜しそうである。だかアンナな嬉しそうに
「グンナル先輩…私、待ってますね!」
「その時はたっぷり稽古してあげますよ!今日はグンナル先輩の声を聞けて嬉しかったです」
そう言ってアンナは教頭室を出ていった
「少しは素直になったか…」
グンナルが想いにふけっているところへ突然ドアが開いてエトが入ってきた
「グンナル先生、次回の授業どこに集合すればいいんですか?ロゼに聞いても教えてくれなくって」
「俺様の授業で寝ておいて、よくそんなことが言えるな…」
そう言うグンナルだか、怒っているということはなさそうだ。むしろ嬉しそうである。
「次回の授業の前に俺様がたっぷり補習してやる」
「それは遠慮しておきます〜」
逃げ出すエトだが、グンナルは余裕だという感じである
「俺様から逃げたことを後悔させてやろう、とうっ」
アンナとの再開…それはグンナルにはかなりの力を与えてくれる。いつも以上に元気になったグンナルがエトを捕まえるのは時間の問題だろう
走りながらグンナルの心はアンナとの再開の嬉しさでいっぱいだった
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