194607XX【長門】 [0725] ―――あぁ、まだ生きてるのか、俺。今度こそ、もしかしたら死ぬかと思ったけどな。 全く、なぶり殺しもいいとこだ…趣味がイイぜアメさんのやる事はよ。 あー……でも流石に今のは結構効いたな。痛ってぇ。気持ちわりぃ。時間と共にジワジワ来やがる。 それにしても、まだ艦体(カラダ)が残ってるとは、つくづく俺は丈夫だと逆に驚くよ。本当に、技師(親父)たちには感…謝………いやいやいや、楽に逝けない事を嘆くべきか?ここは。 ………そんな事言ったらバチが当たるな。 周りの奴等はほぼ残ってねぇし、『酒匂』も先に逝っちまった。確かに、アイツと俺とは造りも違うんだけど。 でも、俺は簡単には沈まねぇ。 國を駄目にしちまった『こんなもの』でなんか……意地でも、死んでやるか。 大日本帝國の技術、ナメんなよ。 [0727] ―――――――ちょっとマズイな、どのくらい意識飛んでやがった? クソっ……駄目なのか…やっぱり、……負けるのか…? ……でも、漸く皆の所に行けるんなら、それもいいのかなぁ。 死に場所はバラバラだけど、皆迷わずにちゃんと帰朝してるよな? 金剛のとっつぁんら古株連中はどうせ呑んでるんだろうな。俺も早く混じりたいなぁ。 大和の坊主らはまた喧嘩してそうだ。末のチビちゃんの苦労が目に浮かぶよ。 他の艦艇……諸先輩方も後輩諸君も皆、きっと楽しくやってるんだろうな。あー羨ましい。 もしかしたら、他国の奴等も交えて一緒にドンチャン騒ぎしてるとか。はは、それも有り得そうで可笑しいなぁ。 [0728] ―――――――――悔しいが、いよいよ、限界みたいだ。ここまで良く持った。本当に、幾らなんでも丈夫過ぎるだろ、俺。 敵さんに接収されて、実験台にされて…こんな生き恥晒す方が、よっぽどツラいのによ。 でも、もうそれも終いだ。 邪魔者は居ないし静かだし、実にいい夜じゃねぇか。 あぁ、でも、 これで、やっと、 やっと、会えるんだ。 長く待たせたな、陸奥。 でも、もうじき俺もそっちに行くから待ってろ。 そして笑え。 笑顔で、いの一番に俺を迎えてくれ。 じゃないと、ブッ飛ば…す… ――――――願わくは、……どうか、…… どうか、御国が安らかで…ありますよう…… ………………………………………………………………………………………………………………………………。 [0729] [戻る] |