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笑う鬼と泣きむし


母上、私を見てください。

父上、私と遊んで下さい。



ねぇ私は、ちゃんと此処に居るのに。


***

頭が重い。

きっと体が疲れてるんだ。
そうに決まってる。


バサバサと、羽音が聞こえる気もしたが朝の鳥にしてはなんか…なんか、あの

「モトチカ!モトチカ!」


…元親さん?
こんなしゃがれた声だっけかいや違うだろう。これはまるで、

「…鳥、の」


眼前にドアップで鳥が居たら。あなたはどうしますか。


私は、とりあえず抱きしめました。


「可愛い…!ねぇ、喋った?喋ったよね!すごい頭良い子なのかなすごい…!」


人とはあまり関わって来なかった代わりに、とは言わないが動物は大好きだ。一度、前田家を訪問した時は発狂してしまった事を思い出す。


鳥特有の、かくかくとした首の動きも無理矢理まいたバンダナも可愛い!



ギュッと、骨には気を付けて抱きしめていると鳥は「モトチカ!」とまた名前を呼んだ。




「……元親?」


「あぁ?呼んだかよ」


ぎしり、と木の床が鳴った。
同時に私は此処がまだ海上であり、ついでに長宗我部軍の船と知るのはもう少し後のこと。




「………」

いまは、まだ。
笑いを堪えているような元親さんを、嫌な汗をかきながら見る事しか出来ない。


「なんでィ、鬼でも見たような顔してよォ?……つぅか安心したぜ!」

にかっ、と笑った元親さんは【西海の鬼】なんて通り名が似合わない笑みを浮かべた。

「ちゃんと喋れんなら、喋れよなァ。その方が可愛……」


口を開いたまま、元親さんは固まって。突如壁に頭を打ち付けた。


「だから、そんな趣味ねェっつてんだろうがぁああ!」



とにかく、私は全力で引いた。


***

それから元親さんは私の現状とこれからについて話してくれた。

「…つーわけだ、毛利の野郎とやり合う為に資金調達したからよォ」

名前に何か引っかかりを覚えて、思わず「…毛利、様?」と口の中で唱えたが元親さんは気が付いていない。

「カラクリ作って、毛利ん所行った後で帰してやる。だが、タダ飯食わせる程俺も優しくはねェからよ。まぁ飯分位はちぃっと働け。いいな?」


「………ぇ」


働く?




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あきゅろす。
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