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笑う鬼と泣きむし



朝霧は、鶴姫の従姉妹にあたる。

しかし周りの期待とは裏腹に、平々凡々な容姿と能力であることが本人のコンプレックスである。


***


「とゆー訳でですねぇ…おもてなしをしなくてはいけなく成りました!ごめんね朝霧ちゃん!」

「ぇ、うん…わかったけど、私どうしたらいい?」

「う!……うむむ、どうしましょう……!」


鶴姫が真剣に悩み始めると、朝霧は焦った。鶴姫は大将であるし自分に時間を取らせる事は申し訳ない。
けれど、下手な事は言えないので朝霧は俯き、泣きそうになるのを堪えた。



「…あっ、船を出しますからそれでちゃっちゃと逃げて下さい☆さて、お迎えの準備をしなくては!」


鶴姫の案は、はっきり言って危険だったのだが反論すら億劫な朝霧は船に乗るために用意を始めた。


周りもまた、戦の準備に支度をする兵でてんやわんやになる。


そして、悲劇は起きる。



***


「…あれ?」


外着に着替えようとした朝霧は置いていた場所に着物が無い事に気付いた。
こんな状態だし、誰かに尋ねる事は迷惑だよねと考えた。


と、自分の外着は無くなっていたのだが代わりに男物の着物が置いてあったので……


「いや、でも浅葱色なら…」


女の子でも着れるかな。



***


一人、帰路につくために手漕ぎの船に乗った朝霧がオールを握りしめた瞬間、


「ぁあ゛?テメェ戦場から逃げ出すのかよ」


ごとん、と男が船の中に降り立って私を睨みつけた。
口の中が渇いて上手く喋れない。


大きな碇が目に映り、冷や汗が止まらなくなった。


どうしよう、


この人は…西海の鬼。



長宗我部元親、その人だった。



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あきゅろす。
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