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半透明な居候。
耀さんと


思いの他早く街に出た。
ちなみにアーサーさん曰わく、「設定では不思議空間に住んでるから国の配置とか国境とか深く考えなくていいんだからなっ」らしい。よくわからない。


商店街らしい通りに出ると、色々な匂いがした。

「お金持ってないしなぁ」


いや、つまみ食いなんかしないよ。だってフランシスさんが晩御飯作ってくれるって言ってたし

(グーグー)

お腹鳴ってなんかないよこれは虫の泣き声、

(グーグー)

絶対何も食べない、食べないんだからね、食べ

「さっきから何あるかぁぁー!」

「す、すみませんんん…」



すごいや、半透明な私に話かける以前に叱り飛ばして来たのは彼が初めてだよ。
ん、彼?彼女?いや、彼だ、多分。

やけに若々しく見える彼は、たまたま同じ方向に歩いていたらしい。

「とりあえず、菓子やるからこれでも食べるよろし」


慣れた手付きで、小判焼きみたいなお菓子を差し出してきた。そんな…っ、フランシスさんの料理食べるまで我慢するって決めたのに!


「私を誘惑しないで下さい…!」

「言うに事欠いてなんて事言うあるかぁあぁ!人聞き悪いある!」

「だって美味しそうな月餅差し出すからー!」


「情けねぇ奴に菓子やっただけある!…もういいあるっ」



ぱっ、と私からお菓子を取り上げて懐にしまおうとする彼に。空腹の限界に至った私は飛びかかってしまった。


「あいやぁあぁぁあ゛っ!」


***

「本当にすいませんでした」


「ひでぇある…」


結果を言うなれば。食べてしまった。お菓子の話ですよもちろん。
結局、近くの喫茶店に入ってお茶を頂いている。


「しっかしお前、摩訶不思議な奴ある。…我と同じでも、なんで背景透けて見えるあるか。マシューと同じあるか」

「決して影が薄い訳ではないですよ。さっきも店員さん困ってましたもんね…」


一名様やら二名様やら。バイトくんを涙目にさせてしまうなんて申し訳ない。


「…て、アナタも国なんですか。国のエンカウント率高いな」

「何ごちゃごちゃ言ってるある、我は王耀。お前も名乗るよろし」


「あ、どうも居候です。今はアーサーさんとこでお世話になってて、」



「あへん?」


「はい?」


今まで普通に話をしていた耀さんが苦虫を噛み潰したような顔になる。


「なんでもないある、ちょっと恨み事思い出しただけある」

「……なんか、すみません」



その後、まったりまったりとお茶をしばいていると。

道を騒がしい彼がやって来た。


「Hey!やっと見つけたよ居候ー!!って、なんだい君も一緒だったのかい!」

アルが私を見つけて声を掛けてきた。片手には炭酸飲料のボトルが入ったビニール袋があるがさっきコイツ手をぶんぶん振ってたけど大丈夫かな。
後で開ける時は逃げよう。


「久しぶりある、なんかイベントするあるか?菓子なら、一個10ドルで売ってやるある」

「パーティーだぞ!ビジネスじゃないよー!」

「まぁ付き合いは大事ある、我も呼ぶよろし。…そういや何のつどいあるか?」







居候の歓迎パーティーだよ、僕らのお泊まり含めてね」

「…誰あるお前」


「マシューだよぉっ!」



なんだ、二人で来ていたのか。気が付かなか…

「もうっ!酷いよ二人共!居候はちゃんと気が付いててくれたのに!ねっ」


「…ソウダネ」


ごめんなさいマシュー。


***


耀さんと、帰りましょうか。



***


そういえば、さっきみんなで話してる時になんか囁きみたいなの聞こえてたんだけど。なんだったんだろう。

シンレイ現象とかだったらやだなぁああっ!



***



「僕を除け者にするなんて酷いよねー、ライヴィス?」


「は、はい…!まったくです!いくらイヴァンさんが酒飲みで、私服がゴテゴテで、触ると冷たいからって「ライヴィスぅぅう!」

「コルコルコルコル…」




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あきゅろす。
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