半透明な居候。
ローデリヒさんから
「じゃあ、お着替えも済んだ事だし、ローデリヒさんに挨拶しなくちゃ!」
「罰ゲーム中なんです!」
「ふふ、大丈夫よ似合ってるから」
そう言われて案内された屋敷の中は、広いし煌びやかな雰囲気なのに、どこか寂しげで。
ずらりと並ぶ肖像画のせいか、
「お前んち、おっばけやー…」
「失礼な方ですね」
憮然とした表情で、廊下に居たのは眼鏡で生真面目そうな青年だった。
「あ、どうも居候です」
「…知ってますよ、エリザから聞いています。どうやらあのお馬鹿さんのお知り合いのようですが、おつむは大分マシな様ですね」
ギルベルトさんは何かとても酷い事でもしたのだろうか。
「すみません、実に恐れ入りますが…居候させて頂きます」
「かまいませんよ、屋敷は広いですからお手伝いさんとしてなら。……フェリシアーノだけでは手が足らないでしょうし」
先ほどから気になっている、フェリシアーノさんの名前。
「あの、フェリシアーノさんって…もしかして、ふわふわしてる前髪くるんの男の人ですか」
もしかして、知り合いが居るのかも!と淡い期待で尋ねてみるとローデリヒさんは首を傾げた。
「いいえ、確かにあの…ふわふわしてますし、前髪はくるんとしていますが……屋敷に居るのは女の子ですよ」
あっれ〜?
「それと、私はともかくとしてもう一人にも挨拶を……と、思いましたが彼も多忙でして。まぁ追い追いでいいでしょう」
「分かりました、そして何をしましょうか!」
思えばアーサーさん家ではあんまりお手伝いとかさせて貰えなかったし、これはこれで楽しい。
「そうですね…では掃除でも」
「はい、わかりました!」
ちょっとルンルンしながら、ゴミ袋片手に歩き出すと、さっそくゴミに遭遇して拾う。どうやらボロ布のようだ。
「あー…、居候さん?それは」
「はい、ゴミですよね?」
「わ、私の下着です」
顔を赤らめながら、俯くローデリヒさん。
今すぐ消えたい衝動に駆られた居候。
そして息を荒げながら、カメラのシャッターを切るエリザ。
そんな事を経ながら、居候はローデリヒさんの家に居候させていただく事になりました。
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