半透明な居候。
フェリシアーノと
国エンカウント率が異常に高い今日このごろ、例に漏れず彼もどうやら国らしい。
「いや、あの…私の事怖くないんですか…?」
「ヴェ?なんで〜?」
「…や、もういいです…」
そして彼らは、不思議と私を受け入れてくれる。やっぱりなんかこう…国で通じるものがあるのかも知れないな、なんて
「だって可愛い女の子を口説かない手はないよ〜!Piacere(初めまして)〜!」
「普通の人は居ないんですかぁあっ!」
半透明な私の手を取って、彼はふわりと抱きしめてきた。
「う、うわぁああ!破廉恥ぃい!」
「えっ?これは挨拶みたいなもんだよ〜?あはは、なんか菊みたい〜」
前々から思ってたけど、菊さんて誰だろう。なんか似てるらしいけど、もしかして私と何か関係が…なんて考える余裕は無く。
叫びながら、私は彼の腕から逃げ出したのだった。
***
斯く斯く然々。
説明すると、聞いてるのか聞いてないのか、まるで花咲くようにニコニコとしている彼は
「へ〜そっかぁ〜」
と事の重要さを本当に分かっているのかと疑いたくなるような返事をくれた。
「じゃあ一緒にお茶しよっか!」
急にキリッとした彼に、出来るだけ感情を見せないように、
「慎んでご遠慮させていただきます」
と腰をおった。
彼のくるん、とした髪が少し萎れたように見えた。
「ちぇ〜、じゃあまた機会があったら一緒にシエスタしようよ〜」
「…?しえ…よく分かりませんが、機会があればという事でしたら…」
元気を無くされて、罪悪感が生まれてこんな返事をしたけど。まさか後々あんな目に逢うとは思わないだろう。
急に、パァとまた花咲くような笑みを浮かべて。彼はまた私を抱きしめた。
「Grazie!居候ちゃんって良い子だね〜!これでムキムキルートに自慢出来るよ〜やったぁ〜」
「ん、え、ルートさん?!」
うわぁあ、そうだった。
私はルートさん探し…もといアーサーさん達を尾行中で迷子だったのに、こんな道中で彼と抱き合っている訳に、は
「こんのマカロニ野郎ぉお!うちの所の居候に手ぇ出してんじゃねぇえ!」
「あ、アーサーさん」
もの凄い形相でアーサーさんが走ってくる。そして私と彼を引き離したかと思うと、疲れたようにため息を吐いた。
「フェリシアーノ…お前もまぁ…よく節操なく、こんな半透明な奴にも声かけるよな…」
「アーサーさん、失礼です。私に失礼ですよ、泣きますよ。アーサーさんに啼かされたって言いながら泣きますから」
「『なく』の字おかしいだろ!……んで、お前は何してんだこんな所で」
ひくり、と引きつった笑いを零すアーサーさんに私はこう答える。
フェリシアーノ
とランデブー
結局、
アーサーさんにこっぴどく叱られた私は、アル達と合流して家に戻るのであった。
そういや、ルートさんには会えなかった。
どうして、アーサーさんがあんなに怒ったのか。ルートさんに会わせたくないのか。
私にはまだ、分からないままだ。
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