半透明な居候。
北米兄弟を
部屋で遊んでろ、と言ったアーサーさん達はどうやら外出するらしい。
信用ないのか、単にアーサーさんが過保護なのか。
…多分後者だろう。
いや、後者じゃないと凹む。
そんな不安を押し殺して、私は部屋に居る二人に号令をかけた。
「さて、行くぜ相棒!」
北米兄弟を
引き連れて。
私の号令に、アルが興奮した様子で立ち上がって、ハイテンションで叫ぶ。
「Wow!なんだい居候!ミッションだったら、俺に任せるんだぞ!なんたって俺は、」
「…あ、あのね居候ちゃん……?隠密行動するなら、アルは置いて行った方が、…い、痛いよ兄弟…!」
「俺も行くったら行くんだよー!今更のけ者なんてズルいぞ!」
正論を言ったマシューに、人差し指で突っつくアル。まぁ置いて行った所で、彼の事だから大音量で叫んで探し回ったりなんかされたら色々水の泡だ。
「なら、最初から連れて行った方がやりやすいよな…」
ボソッと呟くと、私の胸中を察したかのようにマシューが視界の隅で頷いていた。
***
戸締まりはきっちりして、アーサーさんとフランシスさんと……あれ、そういや耀さん何処行った。
「呼んだあるか?」
「は、背後に立たれたっ!?」
私たちの後ろには、呆れたような表情の耀さんが居て。思わずびっくりしてしまった。
「別介意(気にすんなある)、我もこっちから帰る予定だったからついでに来ただけある」
「え、帰られるんですか!?貴重な紅一点が…」
「誰が連合ピンクあるかぁあ!!?」
憤慨した様子でツッコミを入れる耀さんをなだめながら、アーサーさん達を尾行して行く。
来たことのない道に戸惑いながらも、彼らの背を追うのはとても…楽しいものだった。
幸い、アルもスパイごっこ的に楽しんでくれている。
マシューはいつも通りにステルス機能がついて、
「…居候ちゃん、あとでゆっくり僕と話そうね?」
「ごごごご、ごめんなさいマシューさん」
***
そんなやりとりをしている時だった。
チラッと、目を離した隙に。
「…っ!も、目標ロスト…!?見失った!」
しかも、分かれ道で見失うなんてついていない…!
「考えてる隙はないんだぞ、居候!俺は右だ!」
「じゃ、じゃあ僕は左に行ってみるよ…!」
「それなら我は真ん中あるな!」
とっさの決断力で、それぞれ散って行く彼らを頼もしく思っていたのも束の間。
「……って、どうやって連絡取る気なんだ…!?」
携帯電話なんて持ってないよ!?みんなも忘れてないか!
うわぁああ、どうしよぉおぉ…もしかして私…
「あれ〜?もしかして迷子なの?」
「ふぁ、」
くるん、とした特徴的な髪を持つ青年が。
私に手を差し伸べていた。
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