「あれ、マリー。どうした?」

ふと見ると、ソーディアン組から一人抜けて、まじまじと何かを見つめるマリーの姿が。

「ん?いや、何か落ちててな」
「?」

そう言ってマリーが拾ったものは……。

「何かの動物の……角だろうか?」
「……これ……!」

中身が空洞の、大きく曲線を描いたラッパのようなもの。

「……なあ、これ貰ってもいいか?」
「いいぞ。私からシェイドへの初めてのプレゼントだな♪拾い物で悪いが」
「そうだな♪んじゃ、お返し何がいい?」

和気あいあいと喋りながらも、心の内ではこれからの不安でいっぱいだったりする。何が起こるかわからない。何ができるかもわからない。なら、手駒にできそうなものは片っ端から手に入れておかなきゃ、な……。

「あなたと共に戦います。私に力を……クレメンテ!」

突然フィリアの声が響き渡って、何事かと振り向くとそこには、高く掲げられて光り輝くクレメンテが。

「え、これって何の儀式?」
『ソーディアンとマスターとの契約ですよ』
『お互いが名を呼び合った時点で、契約が完了するの』
「ふーん……初耳」
『意外だな、お前に知らない事があるなど』
「そりゃ俺だって人げ、ん……」

……うわ、ここで言葉に詰まるか俺。最近心のネガティブゲイト連発中か?思考回路が後ろ向き全開ウジウジイジイジじめじめ熱帯低気圧……。

「だぁーーーッ!!シャルるな俺っ!!」
『いきなり何っ!』
「まあ、人間だから。わからない事があって当然だろ」
『しかも流されるの!?放置プレイ!』

うるさい叫ぶなっていうツッコミは心の中だけにとでめておこう。うん、無視されたせいで熱帯低気圧はリオンの腰元に移動したようだ。(黒笑)

「やったな、フィリア!」
「これもスタンさんやシェイドさんが元気付けてくれたお陰ですわ」

え、別に俺、特に何かした覚えはないけど。あえて言うならセクハラじじぃに天誅下したくらい?

「リオンさん……」

と、全員の視線がリオンに集まる。そういや、コイツだけフィリアが戦おうとするのにはいい顔しなかったんだっけ。

「リオンさん、改めてお願いします。どうか私も一緒に戦わせて下さい」
「……ふん、足手まといになるなよ」

素直じゃない返答だけど、まぁ丸く収まったってトコか。

「なあなあ、もうソーディアンマスター四人も揃ったんだからさ、いっそ同盟でも組んだら?“ソーディアン同盟”」
「誰がそんなバカバカしい馴れ合いに…、」
「うわぁっ!面白そうだなっ!」

ノッてくるお祭り好きな奴は最低でも一人はいるもんだよ。

「何だか、仲間って感じでいいですね」
『っていうか、シェイドにしては案外地味なネーミングじゃないですか?』
「私はソーディアンを持っていないから入れないな……(寂)」

そんなちょっと落ち込み気味なマリーと、スタンとフィリアと、あとリオンの首根っこをぐいっと引っ張って部屋の隅へ。

「な、何だいきなりっ!!」
「いや、正式名称は“ソーディアン(をスキを見て売っ払おうとする強欲の魔女ルーティから守る)同盟”だから、マリーも俺も入れるんだよってハナシ。OK?」
「「「『『『………』』』」」」

複雑な表情の三人を横目に、ただ単に楽しそうなマリーと俺。

「そうか。私も入れるんだな♪」
「勿論♪その代わりルーティには正式名称の方は内密にヨロシク」
「ちょっとー。アタシだけのけ者にして何の話よ?」

ルーティの不機嫌そうな声に、俺達はとりあえず曖昧な笑みを浮かべてバラける。
と、背後から小さな呟きが。

「そういう趣旨なら……入ってやらん事もない」

たまたま近くにいた俺とスタンは、思わず振り返る。

「……リオン?」
「とっとと船に戻るぞ!!」

そのままずんずんと歩き出す背中を見て、

「これってもしかして、友達への第一歩かな?」
「むしろようやく視界に入れただけっていうか。でも、ちょっとはいい方向に向かってんじゃね」

俺とスタンは、リオンに気付かれないように密かに拳を付き合わせた。



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