信じる心、再び1
さすがにトウケイ領は封鎖されていたが、大きく後手に回っているわけじゃないからかモリュウ領の近くの砂浜から上陸することができた。
モリュウ領はバティスタが余計なことをしていないのでまだ平和なものだ。とはいえ、トウケイ領での不穏な空気は感じ取っているのか、町に活気はなく静けさが漂っている。

「シェイドさん。アクアヴェイルには着きましたが、これからどうしましょう」
「モリュウの領主に協力を仰ぎたいところなんだけど、その前にリオンたちと合流だな」
「上手く見つかるだろうか」
「厳戒態勢のトウケイ領に行くとなれば、モリュウ領主が所有してる黒十字艦隊に何とかしてもらうしかない。リオンとルーティのあの性格なら、慎重に情報収集して同じ結論に至ってるはず」

というわけで、モリュウ領主の屋敷へと向かう俺たちだったが、怪しすぎるとのことで門前払いされた。そりゃそうだよなー。門を守る兵士としては当然の対応だ。
ルーティ所有のレンズがなかなか重いし嵩張るため、宿に荷物を置きにきたはいいが、これからどうするか。

「うーん」
「困りましたね……」
「おかしいな、あいつらまだ来てないのか?」

かなりざっくりとした計算ではあるが、たとえシデン領側から上陸していたとしても向こうの方が先に着いているはずだ。
リオンはセインガルドの客員剣士としての身分が証明されるし、神の眼の捜索の任務を受けた時の勅命状も持ってる。領主の協力を得られたらあとから合流する俺たちのことも説明してくれるはずなのに……説明、してくれるよな?
そこは説明してくれるはずだと信じて、まだモリュウ領に辿り着いていない可能性が残る。

「まさかとは思うけど、海底洞窟通ったのか?」
「皆さん、船に乗られてましたよね?」
「そうなんだけど……トウケイに降りれないからシデン方面に向かったとして、もしかしたらもしかするんだけど諸般の事情で(主に船酔いしてるどこぞの坊ちゃんの珍しいワガママが発揮されて)陸路を使わざるを得なかったのかもしれない」←大当たり
「その結果、予定よりも遅れた、と?」

単純に遅れてるだけならいいけど。

「海底洞窟なんだけど、かなり強いモンスターが居座ってるって聞く。あいつら三人だけで突破できてるか……」

前の時は六人いたが、頭数だけなら今回はその半分だ。前衛、回復役とバランスはとれてるしあいつらの実力なら負けることはないと思うんだけど、どうにも気になって仕方ない。

「行ってみよう、シェイド。どうせここにいたって待つしかない」
「迷子との合流はその場を動かないのが鉄則だけど……今回ばかりは動いた方がよさそうだ」

結果、この時の即断即決に感謝することとなる。

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