「ルーっ!どこいっちゃったのー?」

ちょっと目を離したすきにいなくなった弟を探して、瓦礫だらけの街を歩き続ける。
こんな初めての土地で一人きりなんて怖くて寂しくて仕方なかったけど、たった一人の家族であるルーを放って、泣いて蹲ってるわけにはいかない。
だって、アタシはお姉ちゃんなんだから。
探して、探して。
いっぱい呼んで。
その姿が積み上げられた瓦礫の上を歩いているのを見たとき、それまでの緊張が一気に緩んだ。

「ルー!!」
「あ、ね、ねーちゃん……っ!」

そんな泣きそうになるくらいなら、最初からどこにも行かないでよ、と。
そう思ったのはほんの一瞬。

「あ、だめ!!危な……っ!!」

雨の降りやすい土地で足場も地盤も緩かったのか、ルーの重さに耐えきれずぐらりと崩れる瓦礫。
それは確実にアタシの方に向かって落ちてきていて
それよりも、その上に立っていたルーが、落ちて。

「っ、!ナナリー!!」

ずっと探していた懐かしい声が聞こえたのと同時に、大きな見覚えのある体躯に強く弾き飛ばされる衝撃。
まるでスローモーションのように見えたのは、青空を切り取るような白銀の髪をなびかせた人が、弟を腕に抱きこんで落ちていく光景だった。



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