さあ!1
「人を勝手に殺すなっ!!」
一向に目覚める気配を見せないベッドの上の住人が、およそ三日目にしてようやく起き上がった時の、まさかの第一声がそれだった。
「……、っ」
「じゅ、ジューダス!大丈夫か!?」
その直後に再びふらあっとベッドに逆戻りする羽目になった事も追記しておこう。
「当たり前よ。私達が把握してる限りだけでも三日、一応水を飲ませたりはしたけどなーんにも食べずでぐーすか寝こけてたんだから。いきなり起き上がってそんだけ大きな声で叫べば、貧血起こしてぶっ倒れるに決まってるわよ」
一通りジューダスの様子を見終わったハロルドが、多少の栄養失調以外は面白くないくらいに問題ないわ、と肩をすくめる。
「聞くまでもないけど、寝起き一番にツッコミ入れた相手はやっぱレイスか?」
「……よくわからん。何とも言えない夢を見ていたような見ていなかったような……むしろ聞きたい事だらけなのは僕の方なんだが」
「ぼ、坊ちゃぁぁぁああん!!」
ベッド脇で感涙に咽び泣いている、知り合いではあるんだがそう親しいわけでもなくはないんだが結論から言うとここまで泣いてもらうほどの仲ではない銀髪を横目に、ジューダスはそう呟いた。
「ハロルドがこの時代にいる。シャルティエさんに関してはそれが全てだ、察してくれや」
「……………すまない、愚問だったな」
ロニの簡潔かつわかりやすい答えを聞いたジューダスは、らしくなくも素直に謝ったのだった。
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