交錯する瞬間1 砂漠の街の夜は、昼間と違ってかなり冷え込む。そんな刺すような冷気の中、闇に紛れてこっそりと神殿の裏口へ。 スタンが小さく扉を叩くと、キィという音と共にわずかばかり開かれた隙間から、微かな明かりが漏れた。 「……お待たせしました。どうぞ中へ」 フィリアの無事と潜入の成功にまずはホッと一息つきながら、俺は次の行動に移ろうとぐーっと伸びをした。 「じゃ、俺は先に上から行くから」 「頼むわよ、シェイド」 「気をつけてくれよな」 「お怪我をしないで下さいね」 「絶対に後で合流するぞ!」 「………」 やっぱりお前だけは無言か。そりゃかなり予想はついてたが、フリだけでもちょっとは労えっつーんだよ。 『ぼ、坊ちゃん!せめて何か一言くらい……』 あるわけないだろうなあ、と思ってとっとと踵を返したところ、 「僕の迷惑にならない範囲で勝手にくたばれ」 「テメェこれ終わったらマジで一回シメる」 『二人とも、口が悪いわよ』 そんなカンジで俺達は違いの健闘を祈った。(待て) [back][next] [戻る] |