と、ようやく神殿の入り口前に到着。

「ヘえ〜。これがストレイライズ神殿か……ぐぇっ!?」
「ちょっとはじっとしてろっつーのこのオノボリサンが。お前はいきなり飛び込んで危険を侵すというバカを演じたいのか?」

物珍しげに、何のためらいもなく神殿に入って行こうとするスタンの襟首をぐいっと引っ張る。

「あーあ、ホント、スタンって風邪もひかないんじゃないの?」
『遠回しでもなくバカだと言われているな。否定はせんが』
「もう、皆して何なんだよっ!俺だって風邪くらいひくってば!去年の夏はそのせいでリリスとかじいちゃんとかバッカスとかに散々迷惑かけて……………って、ど、どうしたんだよ、じっとこっち見て……?」
「「「………」」」
『『『『………』』』』
「あああ、あの……」
「夏風邪はバカがひく〜というヤツだな♪」
「!!」

再び間。

『……え、っと……それで、これからどうしましょう?(汗)』
『ディムロスよ、主も難儀なマスターを選んだのぉ』
『あまりのバカさに、人間だったなら思わず頭を抱えていた所です』

とまあ、背後でイジけてる田舎出金髪クンはこれ以上傷を広げないためにも放っておいてあげてだな。

「私が巡礼者を装って、先に中へ入っていますわ。皆さんは夜になってからお越し下さい。裏口のカギを開けておきます」
「フィリア一人で、か……無茶はしないようにな」

マリーがそう言いながらスタンの背にかけたままだったクレメンテを手渡す。今だにスタンは復活できないようだ。(酷)

「ええ、ありがとうございます」
「それにしてもクレメンテって重そうね……いっそ刀身削っちゃえば?」
『!!』
「それはいいな♪今度どこかの鍛冶屋へ持って行くか!」

クレメンテが望まないシェイプアップの危機に瀕しているようだが、まあそこは女の子達の可愛らしいスキンシップということで置いとくとしよう。うん、俺は信じるさ。

「で、だ。さっきから黙り込んでるリオンさん。ちょっと提案があったりするんですけど」
「……何だ」
「突入時に俺だけ別行動させてほしい。なるべく早く奥まで行けるように、おとり作戦」
「!?」
『そんな、一人なんて危険ですよ!』

だって、“この”ペースでいけば確実に逃げられちまう。どこかで、何かで、流れを変えなきゃならない。

「勝手な行動はやめろ。それでもししくじったら、お前一人の犠牲じゃ済まなくなるんだぞ……最悪の場合、僕達が全滅する」
「俺はそんなヘマはしない。今まで戦ってきて俺の技量は分かってんだろ。それにもし捕まったって、お前らを巻き込まない自信がある。まだ何か文句あるか?」

おそらくは、傍から見れば絶対零度の睨み合い。もうね、吹きすさぶブリザードが見える気分。むしろダイアモンドダストも出現してそうだ〜♪

「……っ、勝手にしろ!」
「サンキュ。詳細はまた宿で話すわ」

はあ……。とりあえずだろうが何だろうが、俺を無条件で信じてくれてた前のエミリオが懐かしいぜマジで。



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