かさかさかさかさ



「おい、タンスの裏に潜ったぞ」

「うっわ、サイアク。スタンのデコの上よりかはマシだけど」

『どうします、いっそ放っときますか?』

「うーん……巣穴見当たらないからまた出て来るだろうな。しかも敵は夜行性。明かり消して暗くなったら、ますます活発になるぞ」

『いつの間に敵に……』

「でも、新聞紙じゃ届きそうもないわね」

「何か長い物……」

「「「………」」」

「剣でいいんじゃないか?」

『『『!!?』』』

「あえて言わないようにしてたトコを突いたか。まあ、マリーはソーディアンの声が聞こえないもんな」

「そうだな。この際文句は言ってられないだろう」

『ま、待って坊ちゃん!切実に!!』

「いいじゃない。戦闘中だってもっとグロくて気持ち悪いの斬ったり突いたりしてるんだから」

『それとこれとはまた違うのよ!モンスターはモンスターで割り切れるんだけど、アレはまた別なの!!』

「ま、マスター達と俺とマリーの(夜食の材料にされない)ためだって。逝くぞディムロス」



ちゃきっ



『待てーーーッ!!何でいきなり我なんだ!!』

「いやだって、アトワイトとかシャルティエだと刀身細くて当たり悪いし」

『『(ほっ……)』』

「クレメンテは今フィリアが暴走中で近付けないし……」

「ウヒョァァァァぁぁぁっッ!!」

『フィリアぁぁぁぁっ!!』

「「「………」」」

『『『………』』』

「中将らしく潔く諦めろ」

『階級は関係ないだろうが………………………くっ、仕方ない……』

『ディムロス……あなたって本当に頼りになるわ!』

「アトワイトって意外と天然ね。それとも狙ってるの?」

「でも流石に直で潰すのは(後片付けする身としても)キツいから……」



がさがさがさっ



『なるほど。ディムロスを新聞紙で包んじゃうわけですね!』

『情けない姿だ……』

「うっし、準備完了!リオン、あっち側タンス押して壁にひっつけろ。逃げ道なくすぞ」

「ああ、見失うんじゃないぞ」



ず、ずずっ

かさかさっ



「わっ、動いたっ!」

「うぉぉぉぉぉっ!これで、最後だぁッ!!」

『え、こんな場面でそのセリフですか?ネタ違いません?』





―――べしっ!!





「………」

「………」

『………』

『………』

『………』

「う……」

「「う……?」」

『『『う……?』』』

「討ち取ったぞーーーッ!!ついに……ついに俺達は(一晩の)平和を勝ち取ったんだぁぁああ!!」

「あ、アタシ達、やったのね!!」

「……長い戦いだった」

『何だか、私達ソーディアンで疲れを感じないはずなのに、ものすごく疲れた気がするわ』

『ええ、僕もです……』

『感動と興奮を分かち合うのもいいが、できればとっととこの新聞紙を処分してくれないか』

「ああ、悪いなディムロス、助かったぜ。今度ヒマがあったらゆっくり磨いてやるから」



がさがさがさ……



「んあ……どうかしたのか皆、こんな時間に……?」

「おはようスタン。まだ夜だから寝てろと言いたいトコだけど……とりあえずお前、今すぐデコ洗って来い」

「……でこ?」

「そういえば!フィリアどうしたのよ?」

「……いつの間にか静かになったな」

「フィリアなら暴れすぎて疲れて眠ったから、毛布をかけてやっておいたぞ♪」

「サンキュ、マリー。しつこいようだが食えるのはイナゴだからな。絶対にアレだけは料理すんなよ?」

「何かもう今日は心の底から疲れたわ。もう寝よ」

「僕ももう休む。おい、明日は早めに出発だという事を忘れるなよ」

「あ、じゃあ俺もまた寝るよ」

「テメェはデコ洗えっつってんだよ」





閑話休題



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あきゅろす。
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