伝説と呼ばれるかの時代1 船に乗ってしばらくは、各々自由に好きな所で時間を潰すことになった。 ちなみに俺は、ちょうど前の時と同じように青空の元での船旅を満喫中。実質的には久々だもんなぁ。前にカイル達と船に乗った時は視力ゼロだったし、見えるようになってからはイクシフォスラーのガラス越しの空ばっかり見てたし。 「やっぱ船に揺られながら広い海のど真ん中で見る空もいいよな」 「……どこがだ。無駄に揺れるし、潮臭いし、モンスターに襲われても戦い辛いだけだろうが」 ただの独り言だったのに返事が返って来るとは意外で。 ちょっと振り返ってみたら、苦虫噛み潰したような顔したリオンが、俺とは微妙に遠く距離を空けて手摺にもたれかかっていた。 「なんだよ坊ちゃん。夕日をバックに波の音を聞きながら拳で語り合って友情を深めようとでも思ったか?残念ながら真っ昼間だ、出直してこい」 「どこの暑苦しいバカのマネだ。僕はただ風にあたろうと思って出てきたら、運も悪すぎる事に会いたくもないお前と鉢合わせてしまって、それでなくと最悪な気分がますます落ち込んでいただけだ」 「んだよ。そんな冷たい事ばっか言ってると、泣くぞ?シャルティエが」 『え、僕っ!?すっごく脈絡ない上に全く関係ないんだけど!?』 「何言ってんだよ。かの有名なタイ〇ニック号は、ウジウジしたシャルティエの低気圧によって生じた嵐にのまれ、シャルのネガティブさの塊の具現したものに激突し、ロ〇オは愛するジュリ〇ットをオ〇ラ座の怪人にさらわれちまったんだぞ?」 『それ僕のせい!?しかもかなり色んな話混ざってるよね!というか、話の繋がりなくないですか!?』 「気のせいだ。ちなみに俺としては、My Heart Will Go Onを熱唱しながらタイタ〇ックのマネするカップルを見たら、跳び蹴り食らわせて二度と浮上してこれないように海底に沈める事を希望したい」 『ま、まぁその激しくウザいという気持ちをぶつけたくなる心境もわからなくはないですけど、」 「うるさいッ!お前たち少しは黙れッ!!」 うぉっとビックリ。マジで機嫌悪いワケ? こっちで会ってからはほぼ会話する度に怒鳴られてたけど、ここまでイラついてんのは初めてじゃないか? 「………?」 あれ、俺ってリオンがこんな顔してんの、どっかで見た事あるような。 ささやかな俺の戯れ的発言にもツッコまず、普段なら軽く流すであろうこともないちょっとの事にも苛ついて……。 「お前、もしかして酔ってる?船酔い?」 「違っ……お前には関係ないだろう!」 お、ビンゴ。 だから船に乗る前みたいなキレ味鋭い穴空き包丁のようなツッコミがなかったのか。完熟トマトがスパスパ切れる〜みたいな。(意味不明) 「トマトは生に齧り付いてその甘さを堪能するのもいいけど、煮込んでトマトソースも捨てがたい。リンゴとタマネギ丸ごとと、香り付けにローリエ入れてじっくりコトコト水分飛ばして……」 「……は?」 『いきなり何の話ですか?』 「ん?昼飯にミートソースでも作ろうかなーと」 「『(一体どこをどう経由したらそんな結論に……?)』」 よっし、そうと決まればれっつら調理場! [back][next] [戻る] |