「うわぁっ!?」
「っと、ごめんっ!」

しょーもない事をゴチャゴチャ考えながら歩いてたら、誰かと正面衝突しちまった。

「いや、僕も急いでたから……って、あああーーーッ!!?」
「え、何?どっか怪我した?」
「そ、装置が……!!」

と、地面に跪いたままの白衣の男の視線を辿ると、そこには隙間から何本かケーブルの外れたティアラが一つ。

「これ……」
「囚人監視装置なんだよ。ヒューゴ様が持って来いっていうから、とりあえず可愛くてえげつないのと、硬くてえげつないのを三つずつ持って来たんだけど……」

壊れちゃった……とあまりに悲しげに呟くのがいたたまれなくて、その壊れたティアラを手に取った。

「……ふーん、なかなかすげーな、これ」
「だろ?付けた相手に電流を流す事ができるんだ。遠距離からの操作も可能で、しかも発信機付き!僕としては、もうちょっと機能を増やしたかったんだけどな……例えば、目からビームが出せたりとか、電流で頭皮マッサージとか視力回復とか」
「なーるほどな……こーゆう構造してたのか……っと。はい、直しといたから、ソレ」
「バカを天才に早変わりってのも面白そうだよねぇ……って、えっ!直った!?」

手に戻されたティアラをしげしげと眺め……たかと思うと、突然ガバァッと手を握られ、その光り輝くような視線に思わず一歩引いてしまう俺。

「す、スゴいじゃないか君っ!!僕じゃあんな短時間では直せないよ!あ、僕、レイノルズっていうんだけど、君、名前は?どこかの研究室にいたとか?」
「え、ちょ、とりあえず落ち着けレイノズル。傍から見たら男が男に熱烈なナンパをしてるようにしか見えねーから、まずは俺の手を放して一歩離れて深呼吸しろ」
「いや、僕レイノルズだし。っていうか君、女の子でしょ?」

というセリフを聞いた瞬間、俺の腕はほぼ反射的に、目の前のレイなんたらの顔をわし掴み。

「えーっと……レイズノル君?脳天貫通するくらい耳の穴かっぽじってしっかりじっくり脳内のニューロンにまで染み渡るくらい聞いてもらおうか。俺は、男だ。分かる?」
「ひあ、らはらふぉふはへいふぉるふらっへ……(いや、だから僕はレイノルズだって……)」
「うっせー、レイレックス。日々性別を間違われる自分の女顔に傷心しまくるこの気持ち、お前にはわからんだろ」
「ぶはっ!……そ、そうなんだ……そりゃ悪かったね。って、僕の名前既に恐竜ちっくになってない?しかもだんだんと正解から離れてってるような……」

っと、こんなアホな会話に時間費やしてる場合じゃねぇんだった。

「俺もう行くわ。アンタもそれ、持ってかなきゃならないんだろ」
「あ、そうだった!ねえ君、暇があったら僕の研究室に来なよ。城の横にあるからさ」

と、またもや光り輝く視線ビームが!

「わかったわかった、空いてる時間があったらお邪魔するから。じゃあな、レイ太郎〜」
「だからレイノルズだって!そんなとっとこしてそうな名前は嫌だよーっ!」

後ろから何か細やかな訴えが聞こえてきた気もするが、とりあえずスルーして、街の東側へと走ってった。



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