はじめまして、久しぶり1
飛行竜の不時着から三日が経った夜明け前。ホントはすぐにダリルシェイドに戻るべきだったんだろうけど、艦長の怪我がかなりの重傷で、動けるようになるまではハーメンツに滞在することに。
……なったは別にいいんだ、うん。

「絶対鉢合わせる気がする」

そろそろ怪我も回復して、明日の朝には村を発とうかと決まったはいいんだが、時間的にも俺の勘から言っても、これは絶対に例のドタバタに巻き込まれる。

「あーあ、面倒くせーな……」

とか言いながらも、自分の顔が緩んでるのが分かる。
だって、あのまま無事に地上に辿り着いたんならスタンはここに来るだろうし、ウォルトにお宝とやらを届けるならルーティやマリーも来る。となればそのソーディアンであるディムロスとアトワイトも必然的に来ざるをえないし……神殿荒らしを捕らえに来たエミリオとシャルにも、会える。

「どうするかね。今度はとっとと正体バラしちまった方がいいのか?」

全員……は勇気いるけど、せめてシャルくらいには最初っから知っててもらいたい。前の時だって、たまに愚痴れる場所があったのはかなりの支えになった。

「あ、夜明け……」

地平線の向こうから闇夜を切り裂くようにだんだんと差し込んでくる光。
まるで、どうなるか分からなくて不安がってる俺を癒そうとしてるようで、何もかもを包み込むようで、新しい未来を祝福しているようで……

ドタドタドタドタ!!

「……始まった、か」

ったく、せっかく人が薄ら寒いくらいのポエムじみたモノローグを一人静かに語ってたっつーのに。あれ、俺ってただのイタい奴じゃね?
とりあえず、まだ寝てる船員さん達を起こさないようにそーっと部屋を出て。

「ああーーーっ!!君、生きて、無事だったんだな!?」

意味なかったね。ってか、んな大声出すな、朝っぱらから。

「よお、久しぶり。お前も無事でよかったよ。もしかしなくても何か取り込み中?」
「う、うん……何か敵に囲まれてるらしくて」

おい、そこの純粋培養。らしいって……もうちょっと状況を把握してから行動した方がいいんじゃないか?

「ちょっとスタン!何してんのよ!!」
「ご、ゴメン、ルーティ!ちょっと待っててくれないか?飛行竜で助けてくれたお礼とか、話したい事とか色々あって」
「わかったわかった。いいからとりあえず行って来い」

と、まぁ駆け出して行ったのはいいんだけど。
残念だなスカタン……ゆっくり話し合えるの時間は当分来ないぜ。合掌。
んな事より、俺自身はどうするよこれから。

「シェイドさん、どうかなさったんですか?」

さすがにあれだけ騒いでたせいか、部屋にいた船員さん達も起き出して来た。

「あー、味方?が来たような……この場合敵になるのか?まあ、とりあえず皆叩き起こして、すぐ出発できるように準備しといて下さい」
「は、はあ?」

俺にこれ以上の説明は不可能に近い。ってか、ぶっちゃけ無理だ。船員さん達も、表で近所迷惑にも暴れ回ってる奴等も、お互い見てもらった方が早いって。
と、その時、

「無様なものだな。これ以上は見てはおれん」

うっわ……来た。
その声が聞こえた途端、俺は思わず宿を飛び出してしまった。
がくりと情けなくも膝をつくセインガルド兵達の中に、目立つ鮮やかなマント。それを見るのが久々……でもなくて、あのクソ忌々しいデリスエンブレム以来ってのが癪だが。

「事情も知らずに正義の味方を気取る……お前、どこの馬鹿だ?」



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