刹那の時〜夢の狭間で〜1 自分自身が真っ黒く塗りつぶされてゆくような、逆に、真っ白にされてゆくような、そんな何とも言い難い感覚。 頭が痛くなるほどの耳鳴りに襲われながら、それでも偏にシェイドが膝を折る事なく立っていられたのは、約束をしたからだ。 (今度こそ、助けてみせる。だから……) 強い想いが、神と世界によって狂わされた歴史を修正してゆく中であっても、シェイドの存在を守った。 所詮歴史にとっては神も、聖女も、そしてシェイドも異物にすぎない。消えてもおかしくはなかった。いや、存在しないことの方が正しかったのだ。 (俺にどうかもう一度だけ、チャンスをくれ) あとは、世界という曖昧な意思が、本当に新たな一歩を踏み出そうとするか否か。 [next] [戻る] |