2 「レイス!」 大声で名を呼ぶと、振り返って首を傾げるレイス。 その足下には、全く雪を被っていない四つの苗木が植えられていた。 「何をしたんだ?」 「苗木を置いてみただけ」 そう言って足下を指差す。 「……封印が一つ解けた。お前はこのことを知っていたのか?」 「あ、やっぱり?何かこの苗木、妙な気配がしたからさ、同じ違和感のある所に置いてみたんだよ。封印の一つだったのか」 『じゃあ、レイスの気になる所に行けば、封印が全部解けるかもしれませんね』 急に話し出したシャルティエに、ジューダスが眉間に皺を寄せる。 『大丈夫ですよ。レイスは僕の声、聞こえてないみたいですから』 そう言われ、レイスの方を見てみると、確かに表情に変化はない。 「何だ?」 「いや……それより、お前がその気配を追って行けば、封印とやらが解けるかもしれない」 「オッケー。んじゃ、次行きますか」 そうして次にレイスが足を向けたのは、建物の中へと続く階段。 ジューダスが先行して降りて行く。千年も経つというのにそんなに荒れた形跡もなく、当時の物であろう資材などが、未だに置かれていた。 「これ……何だ?」 そう言ってレイスが触れていたのは、古びた暖炉だった。 『たしかこれには、炭が必要だったはずですよ』 「暖炉だ。何かくべる物が必要になるだろうから、これは後回しにした方がいいだろう」 シャルティエの言葉に頭の中で同意しつつ、奥へと促す。そしてさらに奥に進んだ所にあったのは。 「氷、の柱……?」 「氷っていったら解かすのがセオリーだよな」 レイスがそう言った瞬間、本能が危機を察知して、咄嗟にその場からバックステップ。直後、ジューダスは自分の判断が正しかった事を知る。 「『バーンストライク』!!」 声と共に、無数の火炎弾が辺り一面降り注いだ。ジューダスもあのまま突っ立っていたら、確実に当たっていただろう。 『うっわ……危なかったですね……』 「〜っ!お前は僕を殺す気か!!下級晶術で十分だろう!」 「だってこっちの方が手っ取り早いじゃん。フレイムドライブだとアタリ悪いし。今の俺、無機物に対しては特にノーコン」 『た、確かに。二つ目も割れたみたいですね……』 「……もういい、行くぞ」 その先はちょうど行き止まりになっていたので、来た道を引き返す二人。すると、前方から誰かがやってきた。 「ジューダスー!レイスー!!」 「カイル?どうしたんだよ」 暗い地下通路の先から姿を現したのはカイル達三人だった。 [back][next] [戻る] |