2 しばらく無言のまま歩き続けていると、ふと前方に人の気配を感じた。 「誰かいるのか!!」 『え、人?』 そちらに向かって大声で叫ぶと、慌てた様子でこちらに駆け寄ってきてくれた。 「どうしたんだい!?」 声は女性。 「仲間が気を失ってさ……どこか休ませられる所に案内してほしいんだけど」 「わかった、アタシの村においで。ここからすぐだから」 そう言ってレイスが背負っているジューダスを抱えようとするが、やんわりと拒否する。 「いいよ、大丈夫。いくら小柄とはいえ、こいつ背負うのは女の子には難しいだろうし」 「何言ってんだい!アンタだって女の子じゃないか!」 「………」 『………』 (なんつーかもうイチイチ訂正すんの面倒くさくなってきたんだけど。でも、ここで言っとかなきゃ、後で更にややこしい事態になるし……明日から胸板見えるタイプの服にでも着替えるか?さすがにない胸見りゃ……おっとこれ以上は世の貧乳に悩むスレンダーな女性たちの反感を買いそうだからやめておこう) 「あー……先に自己紹介させてもらうわ。俺、レイス。ちなみに男だから」 「……えぇっ!男!?」 その反応についつい溜め息を漏らしてしまうレイス。 「ご、ごめん、てっきり、女の子だと……」 「いいよ、毎度のことすぎて慣れてるから。えーっと……」 「あ、アタシはナナリー。ホープタウンのナナリーさ。村はこっちだよ」 ナナリーに促されるがまま進み、そこから十五分ほど歩いた所に、小さな村があった。 中に入ると、盛大なお出迎えが。 「ナナリー姉ちゃんだ!!」 「おかえりー!早かったね?」 「ごめんね、皆。今は病人がいるから、後で……ね」 そう言うと子供たちは、ナナリーの後ろにいたレイスが抱えている二人に気付き、慌てて道を空ける。 「だ、大丈夫なの!?」 「お薬っ!!持って来なきゃ!!」 「気を失ってるだけだから、薬はいらない。軽く脱水症状起こしてるかもしれないから、できたら水を持ってきてくれないか?」 優しくそう言うレイスに、子供達は真剣な顔で頷き、 「分かった!お水だね?」 「あと……氷、あるかなっ?」 「探して来るよ!!」 走って行ってしまった。 「良い子たちだな……」 「だろ?アタシの自慢さ。さ、こっちだよ」 [back][next] [戻る] |