「本当は、カイルの為を思ってるんじゃない……俺は、俺が……ッ!」

言葉を詰まらせたまま、時間だけが過ぎていった。幸い今いる通りはあまり人も多くなく、不審な二人を気にする者はいなかった。

「……なあ、何で笑えるのかって聞いたよな?」

返事はない。だが、聞いてるものとして話し続けた。

「昔はそんなに表情豊かな方じゃなくてさ。仏頂面ってか、笑う意味がわからないでいた。でも……俺が笑ったら、皆も笑ってくれるんだって気付いたんだ」

それは、レイスにとっては数年前の、世界にとっては千年前の事。

「俺は、未だに自分自身が許せない。でもそんな俺を、親友だと言ってくれた奴がいた。だから俺は、アイツが信じてくれた自分自身を信じることにした」
「………!」

スタンの言葉を借りれば、レイスの決意はこうだった。
スタンを殺したも同然だと思い込んでいるロニには酷だったかもしれないが。

「……っ、俺の方が年上なのに、いつまでもこんな事でウジウジしてられねぇな……」
「年上っていっても所詮は実年齢だけ」
「うるせっ。何回も言わなくても分かったっての……とにかく、もう隠さないことにする。もう少しだけ俺の中で整理がついたら、ちゃんとカイルに話すよ」

さっきまでとは違った力強い声の調子に、レイスは安堵の笑みを浮かべた。だが、ふと気付いた事が。

「……お前、もしかして泣いてんのか?」
「な、泣いてねぇ!!」
「だって鼻声……」
「こんな所で突っ立ってたから凍えちまったんだよ!」

だが、どうしても腑に落ちなくて、レイスはロニの頬に触れ、

「いてぇっ!」

ぐいっと抓った。

「あ、やっぱり泣いてんじゃん」
「〜〜ッるせー!!泣いてんじゃねぇ、これは……こ、心の汗だ!!」
「………」
「………」
「……さぁーって、雑貨屋はどこかな〜」
「無視かよぉーッ!!」







ようやく雑貨屋でマントを購入し、寄り合い所に戻ってきた時には、三人とも待ちくたびれていたようで。

「遅い」
「悪い。店見つけんのに手間取ってさ」
「あれ、ロニ……何か目が赤くない?」

そう言ってカイルに覗き込まれ、あたふたする様子に苦笑を漏らし、助け船をだしてやった。

「さっきコケて雪の中に頭から突っ込んだらしいから。きっとそのせいだろ」
「だ、大丈夫だったの?」
「ケガは……してないみたいね。でも何でまた?」
「……バカめ」
「うるせぇっ!もうほっといてくれ……」



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あきゅろす。
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