「……まさか本当に参加できるとは」
「実は俺も、出れて嬉しいんだけどかなり複雑な気持ちや

選手控え室出番を待つ二人。カイル達とはついさっき別れて、今は観客席にいるはずだ。

「どうして僕がこんなことを……」
「一度はやるっつったんだから後からゴチャゴチャ言うんじゃねえよ。それとも、自信無いのか?」
「そんなわけないだろう」
「ま、やるからには本気でいこうぜ。これも使ってさ」

そう言ってレイスがぽんと叩いたのは、ジューダスの背中。

『!?』
「お前、気付いて……!」
「やっぱりな、何かあると思ってたんだよ。剣か、コレ?後生大事にしまってるだけじゃなくて、たまには使ってやんないと武器も可哀相だぞ」

ジューダスは、マントの下から剣を出し、手に取る。久々の感触。

「この剣は大切な物なんだ。だから、あまり人目には……」
「観客席って結構距離あるんだろ。俺はこの通り見えないし……大丈夫だいじょーぶ、バレやしないって」

そう言ってレイスが軽く笑った時、シャルティエが小声で話しかけてきた。

『(あの、坊ちゃん。僕も久々に戦ってみたいんですけど……ダメ、ですかね?)』

こうまでいわれてしまっては無下にはできない。ジューダスは一つ溜め息をつくと、シャルティエを腰の鞘にしまった。

「そこまで言うのなら僕も本気を出させてもらう。貴様の方こそ、足を引っ張るんじゃないぞ」
「上出来。カイル達に合わせたちまちました戦いで俺も感覚鈍ってたし……久々に全開でいくから。巻き込まれんなよ」

その時、バトルフィールドへの扉が開かれ、二人の名が呼ばれた。

「んじゃ、行きますか」
「こんなもの、すぐに終わらせてやるさ」

そして、扉の向こうへ踏み出した。

「さあ、始まりました!タッグバトルマニア!!果たして生き残る事はできるのか?!挑戦するのは……」
「能書きはいい。とっとと始めろ」

ジューダスに睨まれ、レイス達を紹介しようとしていた司会者はさっさと退散してしまった。

「さ、さて、それでは始めます!!レディー……ファイッ!!」

合図と共に、モンスターが放たれる。途端、ジューダスがシャルティエを抜いて走り出した。向かうは二体の巨大な赤い人型モンスター。

「飛連斬!!」

滑らかな動きで敵を斬りつける。

「飛連双閃!粉塵烈破衝ッ!!」

そのまま技を連携させ、相手に僅かなスキを作る。レイスがそこに続けて斬り込んで行こうとした所、晶術の力が集まっているのに気付き、咄嗟に足を止めた。

「『デモンズランス』!!」

巨大な漆黒の槍が相手を貫く。晶術を食らったパンタグリュエルはそのまま倒れ伏し、レンズとなって散った。

「……いつの間に晶術ためてたんだよ」
「先手必勝だ。長引かせるつもりはない」

先を越されて少しばかり悔しかったのか、レイスは神経を集中させ、頭の中で晶術を強くイメージする。そして、詠唱破棄で高速発動させた。

「『ディバインセイバー』!!」

残っていた二匹のアンドラスは雷の渦に巻き込まれ、あっという間にレンズとなってしまった。
レイスは、ジューダスの方を振り返ってニヤリと笑う。

「どうよ、少しは俺の実力認めてくれた?」
「フン……無傷で優勝したら認めてやらんこともない」
「ちぇっ。素直じゃねーの」

そんな風に軽口をたたき合っている間にも、次のモンスターが放たれる。

「じゃあ認めさせてやるよ。お前の方こそ怪我すんじゃねぇぞ!」
「言っていろ……行くぞっ!!」



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