3 「大丈夫、リアラ?」 「ちょっと力を使いすぎただけだから。心配しないで」 「ほんと、あのでっかい船を浮かせちまうなんてよ……一人でよく頑張ったな」 「あ、それは……」 リアラが何か言いかけた時、部屋の扉が開いてジューダスが入ってきた。 「あれ、ジューダス。どこ行ってたの?」 「レイスの姿が見えなかったから探していた」 レイスの名前にリアラはハッと顔を上げた。 「それで、いたのか?」 「今は船室で休んでいる。フォルネウスと戦って疲れた……と、本人は言っているが」 「たぶん、それだけが理由じゃないはずだわ」 暗に違うと言っているジューダスの言葉を引き継いだのはリアラだった。 「船を浮かせようとしていた時、私以外の誰かの力が助けてくれたの。その時声が聞こえて……」 「それがレイスだったと?」 少し俯きながらも、しっかりと肯定の意を示す。 「すごく苦しそうに叫んでたわ……もう誰も死なせたくない、って」 信じられないような内容に、言葉をなくす一同。 そんな静寂を一番最初に破ったのは、ジューダスだった。 「わからない事に頭を抱えて時間を無駄にするより、今後の事を考えろ。船がこの有様じゃ、陸路を使うしかないだろう」 「そうだな……船長に相談しに行くか」 「うん、分かった……」 カイル達が出て行き、船室に一人残されたリアラは膝の上に置いた拳をギュッと握り、ぽつりと呟いた。 「レイス、あなたは私達と同じ存在なの……?」 [back][next] [戻る] |