「大丈夫、リアラ?」
「ちょっと力を使いすぎただけだから。心配しないで」
「ほんと、あのでっかい船を浮かせちまうなんてよ……一人でよく頑張ったな」
「あ、それは……」

リアラが何か言いかけた時、部屋の扉が開いてジューダスが入ってきた。

「あれ、ジューダス。どこ行ってたの?」
「レイスの姿が見えなかったから探していた」

レイスの名前にリアラはハッと顔を上げた。

「それで、いたのか?」
「今は船室で休んでいる。フォルネウスと戦って疲れた……と、本人は言っているが」
「たぶん、それだけが理由じゃないはずだわ」

暗に違うと言っているジューダスの言葉を引き継いだのはリアラだった。

「船を浮かせようとしていた時、私以外の誰かの力が助けてくれたの。その時声が聞こえて……」
「それがレイスだったと?」

少し俯きながらも、しっかりと肯定の意を示す。

「すごく苦しそうに叫んでたわ……もう誰も死なせたくない、って」

信じられないような内容に、言葉をなくす一同。
そんな静寂を一番最初に破ったのは、ジューダスだった。

「わからない事に頭を抱えて時間を無駄にするより、今後の事を考えろ。船がこの有様じゃ、陸路を使うしかないだろう」
「そうだな……船長に相談しに行くか」
「うん、分かった……」

カイル達が出て行き、船室に一人残されたリアラは膝の上に置いた拳をギュッと握り、ぽつりと呟いた。

「レイス、あなたは私達と同じ存在なの……?」



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