翌朝、一番の船に乗るというので早起きすることになっていたのだが。

「……やっぱり起きねえよな」

ロニはベッドで爆睡するカイルを見て大きく溜め息をついた。その時ドアがノックされ、仲間達が入って来る。

「どうしたんだ、ロニ。朝から溜め息なんて辛気臭い」
「ほっとけ……どうやってカイルを起こすか悩んでんだよ」

ロニのセリフに、リアラはきょとんと首を傾げた。

「カイルはな、昔からもんのすっごく朝に弱いんだ……親父さん譲りなんだけどよ、これがまた一筋縄でいかなくて」

その説明で、ようやく納得とばかりに苦笑するリアラ。その彼女に向かって、レイスは何か耳打ちした。

「……やってみな?」
「え?……うん、分かったわ」

リアラは、不思議そうにしながらも部屋を出て行った。

「何を言ったんだ?」
「リアラの花嫁修行の為の必須アイテムを取りに行かせただけ。ま、見てろって」

しばらくして帰って来たリアラが手に持っていたのは、フライパンとお玉。

「おいレイス、まさか……」
「ほら、撤退ー!避難開始ー!」

そう言ってロニとジューダスを追い出し、最後にレイス自身も部屋を出てから、扉をきっちりと閉めた。
途端、聞こえて来る騒々しい物音。

ガンガンガンガンガン!!!!!

鳴りやむのを見計らって扉を開けると、フライパン片手に耳を押さえるリアラと、寝ぼけ眼のカイルの姿。

「んあ……おはよう、みんな」
「はいはい、おはようカイル。みーんな待ってるぞ。あとお前だけだから、とっとと着替えちまえ」
「ふぁーい」

レイスに生返事をして、カイルはごそごそと服を着替え始めた。
とりあえず先に食堂へ行こうと下に降りる事に。

「それにしてもレイス、お前なんで死者の目覚めなんか知ってたんだ?」
「昔、知り合いに聞いた。どうやっても起きない奴がいて、その為に編み出された秘技だって」

決して嘘は言っていない。レイスこれを聞いたのは飛行竜で会った時のスタンだったのだから。

「へえ……ルーティさんの死者の目覚めは、クレスタでは有名だったけどなあ」

ロニのセリフに、レイスはふとある事を思い出した。
むしろ、タイミング的にはここで尋ねておいた方が後々楽だろうということに気が付いた、というのが正しい。

「……ルーティさん、って?」
「ああ、そういえば言うの忘れてたな。カイルは、四英雄スタンとルーティの息子なんだよ」

自慢げに言われるものの、レイスの反応は薄かった。

「何だよ、あんまり驚かねぇんだな」
「二人に子供がいたのは知ってたからな。そんな驚く事でもないだろ。それに……」
「それに?」

ぽつりと、一言。

「カイルはカイルだろ」


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あきゅろす。
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