盲目の剣士1
「ま、待ってください!その人は僕らの仲間です!」

門番からジューダスを守るように、カイルが立ち塞がった。仮面の合間から覗く瞳が、ほんの僅かに瞠られた。

「仲間?」
「はいっ!そうだよね、ロニ!」
「あ?え、ええ、そうなんですよ……なんか調子が悪いらしくて、ここで休んでたんです」

咄嗟の言い訳はなかなかしどろもどろではあったが、なんとか誤魔化しきれたようだ。門番は警戒を解いてすんなりと引き返してくれた。

「……なぜ庇い立てした?仲間などというウソまでついて」
「だって、ジューダスは仲間だもん!庇うのは当たり前だよ」
「僕は仲間じゃ」
「じゃあ聞くが、アンタ、カイルが仲間だって言った時、黙ってたよな」

三人の間で交わされる応酬を、リアラはどこかはらはらした気持ちで眺めていた。

「それは……ただ単に言うタイミングがなかっただけで」
「それにさ、ダリルシェイドで分かれた時に、何か言いかけてたよね。あれって、一緒に行こうって言いかけたんでしょ?……うん、絶対そうに決まってるよ!」

にこやかにそう言うカイルに、ジューダスは俯いたまま言葉を紡ぐ。

「さっきのように、またろくでもない事に巻き込まれるかもしれない。それでも……いいのか?」
「英雄は困難を恐れない。むしろ、望む所さ!」
「それに、さっきのは別にお前のせいってだけじゃないだろ。ここにいた俺以外、全員怪しかったワケだし」

シェイドのセリフにがっくりとうなだれるロニ。

「おい!何でお前は怪しくないんだよ!」
「俺はマジで資料館に用があったからな。つーかお前らどっから入ってきたんだよ。不法侵入だぞ」
「うっ……それはともかくだな」
「あ、話逸らした」
「今更ろくでもない事が一つや二つ増えたって構やぁしないさ。すでにここに能天気なトラブルメーカーが一台いることだしな」

苦笑しながら、カイルを指差す。

「困難に巻き込むということなら、私も同じだと思います。だから……私は気にしません」

三人がかりでこう言われ、いたたまれなくなったのか視線をそらすジューダス。

「……馬鹿者どもが。後で後悔しても知らんぞ」
「それじゃあ、決まり!よろしくね、ジューダス!」
「よし。んじゃあ丸く収まった所で、俺は失礼するわ」

立ち去ろうとしたシェイドの腕を、再びカイルにしっかりと掴まえられた。

「ねえ、君も一緒に行こうよ!」
「なんでだよ!」

実際、シェイドだって共に行きたくないわけではなかった。ただ、一人になってもう少し身の振り方を考える時間が欲しかっただけのこと。
そこへおずおずと声を掛けたのは、意外にもリアラだった。


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