バルックからフィッツガルドでの謎の武装船団によるレンズ運搬船の襲撃事件について聞き、ジェイクという水夫から神の眼の手掛かりを得て僕達がシェイドの所へと戻って来ると。

「くっ、そ〜。なんで、お前……疲れねぇんだよ!」
「ハァハァ……しかも、すばしっこい……し!!」
「俺を捕まえようなんざ千年早えーんだよ」

まだ鬼ごっこを続けていたのか、こいつらは。
あれからゆうに二時間は経ってるぞ?ガキ共はもう汗だくで息を切らしているのに、なんでアイツはあんなに元気なんだ……ああ、愚問だったな。シェイドに普通を当てはめる方が無理な話だ。

「おい、シェイド。そろそろ打ち切れ」
「あ、おかえり。ってわけで、俺の勝ちだ。まぁこれからも精進するんだな、ガキンチョどもよ」
「お前ホントすげーな!」
「今度は捕まえてやるからな!絶対また来いよ!」
「ハッ!お前らみたいな鈍足に捕まるかよ」
「「ムカつく〜!」」

そう言う子供達の顔は、どこか晴れ晴れとしていた。手を振りながら歩み寄って来たシェイドも、先程とは違ってにこやかに笑っている。

「いつか、この国の人達がいろんな遺恨を乗り越えてくれたらいいのにな」

きっと、お前のような奴ががいればそんな日も遠くはないだろうに。
だけど、理想がな簡単に叶う世界じゃないと僕は知っている。諦めて、全てを捨てる覚悟でなきゃ歩いていけない人間だって、この世界には確かにいるんだ。



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