歩み寄るための第一歩1 無事に船へと戻り、その後は一日もかからずにカルバレイス港に到着した。 「あっつーい!なんなのよこれ!」 船から降りて開口一番、ルーティの叫び声はこれだった。 「この辺砂漠だらけだからな。活火山もあるし」 「ホント、シェイドって物知りだよなあ」 ん、ちょっと待て。 俺、別に特別すごいこと言ってないよな?これってわりと普通のことじゃないのか? 「……カルバレイス地方が暑いのは一般常識だ。知らない奴の方が珍しい」 だよなぁ、あー焦った。世間の一般常識と自分の認識してる一般常識をもう一回照らし合わせにゃならんとこだった。 スタンが助けを求めるようにフィリアの方を向くと、彼女も苦笑いしながら首を縦に振る。さすがのフィリアもフォローの言葉が見つからないようだ。 「さすがスタン、常識知らず!」 「そんなことで褒められても嬉しくないよっ!」 ふと、周りでクスクス笑う声が聞こえた。 俺は、その笑い声を発するガキ共の方へと近付いて行く。 「何が面白いんだよ?」 真顔でそう聞いたらちょっとビビったみたいだ。 「だ、だって、あの金髪のヤツ、バカみてーだから……」 「だからって何で赤の他人のお前らが笑うんだ、関係ないだろ?確かにアレはバカだけどな、お前らみたいなガキに嫌な笑い方されるほど性格の悪い人間じゃないぞ」 「シェイド……!」 「バカなのは確かだけどな」 「……シェイド」 「う、うるせー!!ヨソ者のくせに!!」 逆ギレかよ。こりゃ教育的指導が必要かね。このお子ちゃま達の将来の為にも。 「そんな偉そうな口利けるなら、俺を捕まえてみろよ。余所者くらいすぐに捕まえられるだろ?」 「おい、シェイド!」 「悪い、リオン。先に行っといてくれ」 「シェイド、俺は別に気にしてないし……」 「黙れスカタン、お前の為にやるわけじゃねえ。子供の教育の一環だ」 どうやら皆は俺が梃子でも動かないと分かってくれたのか、ずんと沈んだスタンを引きずって行ってくれた。 「んじゃお子ちゃま達、かかってこいよ。世間の厳しさ教えちゃる」 こうして、俺VS地元のガキ共との鬼ごっこ開始のゴングが鳴り響いた。 [back][next] [戻る] |