3 出航して三日経った。そんな俺が今どこにいるかというと……(船の中なのは当たり前だけど) 「あ、フィリア。それ火弱くして」 「は、はいっ」 「マリー、味はどうよ?」 「……うん、いいんじゃないか♪」 ソーディアンない組が集まって料理をしていたり。 「こんなもんかな……」 「シェイドは料理がうまいんだなぁ」 「剣も料理も出来るなんて……羨ましいですわ」 え?そうか? 別に出来るってほどすごいもをじゃないぜ? やろうと思えば何とかなるもんだし、後は栄養バランスとか主食、主菜、副菜の量とか、皆の健康状態と好みを考えながら、今日の気候と気分に合わせて頭ン中のレシピを引っ張り出しゃいーんだから。(だからそれが出来ませんって) 「でも、今日のシチューを作ったのはフィリアじゃんか。」 「それは、シェイドさんがレシピを教えて下さったから……」 何でこんな自信ないかな? 「誰だって最初はレシピ見ながら作るもんだって。今日のはフィリアが一人で作ったんだから、自信持てよ!とにかく、覚めないうちに持って行こうぜ」 そう言って、フィリアのシチューを持って、皆のいる船室へ向かう。 と、誰か降りて来た。 「あ、シェイド!良いにおいするなぁ……」 「スタン、見張りの交替か?」 マリーの見張り……ってことはそろそろかもな。 急いで食わねーと。 「あー、みたいだな。悪ぃマリー、行って来て。メシはちゃんととっとくから」 たぶん食えるの二時間後。ホントごめんな、マリー。……と思っていると、いきなり船が大きく揺れた。 「ばば、化け物が出たぞーっ!!!」 甲板から、誰かの悲鳴が聞こえる。 (早過ぎる?だってマリーはまだここに……) 「シェイド!!何してんだよ!早く行かなきゃ!!」 「あ、わ、分かってる…」 出て来た化け物が襲う事を目的としてないのが分かってるせいか、なんか危機感が薄くなるんだよな。 (タイミングがずれた?でも、所詮これだって些細な事だ。結果は何も変わらない) そうこう考えてるうちに甲板に着いた。どうも俺が一番最後だったらしい。 『……お前が敵うような相手じゃない!!』 「だけど、やるしかないだろう!」 おお、目の前にでけぇ海竜が。久々に見たなぁベルナルド。 “……こちらへ……” 「………?」 幻聴か?なんか聞こえるし。 “海竜に、案内しよう……” 「待って下さい!……私を、呼んでいます……」 ああ!これってクレメンテの声か!! ……って俺まで呼んでちゃマズいだろ。 「バカッ!危ないでしょ!!」 「フィリア!戻って!!」 海竜に近付くフィリアを追って、俺もついて行く。 「おい、シェイド!!」 「大丈夫だって。せっかく乗れるみてーなんだから、行こうぜ。面白そーだし」 「「「『『『(どこが……?)』』』」」」 「なんだかワクワクするな♪」 「マリーはやっぱ分かってんな〜♪」 そう言って、とっとと二人で海竜に乗り込む。 後からスタン達もついて来て、最後にリオンが乗り込むと、海竜は海を潜り始めた。 「僕はお前の価値観にはついていけないな……」 なんかまーたため息つかれちゃいましたよ。何?これって俺のせい? 「なんだよ。人間生きてることを実感するには娯楽とちょっとのスリルが必要なんだぞ?」 「これがちょっとで済むか。命懸けだろうが」 「だから、赤信号も皆で……」 「それはもういい」 ううっ、あっさり切られた。坊ちゃんのイジワル(涙) 昔はもうちょっと可愛げがあったくせに。 『いい加減、坊ちゃんもシェイドの扱いに慣れてきましたからね』 「シャル!俺のガラスのように開放感溢れる心を覗くなよっ」 「それはいかにも見て欲しいと言っているような物だな」 『別に僕は、ガラス張りじゃなくてもシェイドのことなら分かりますよ。付き合い長いですから♪』 「そっか?いやあ、シャルの愛を感じるなぁ」 「………」(←なんだか気に食わない) リ、リオンさーん。眉間のシワ深いですよ? そんな風に楽しく会話しながら(え?楽しいのは俺だけだって?んなこたぁナイナイ)、俺達は見えない声と海竜に導かれて、海底都市へとやってきた。 [back][next] [戻る] |