同じ名前の男1 今回の飛行竜の一件で、学んだ事が一つある。 それは、そこに至るまでの過程がどうであれ、絶対に結末だけは変わらないという事。 俺という介入があってもなくても、結局は何も変わらないのだという事だ。 じゃあ、俺って一体何なんだろう? 時の流れに介入して、自分で未来を作り上げていくこともできない俺は、一体どんな存在だっていうんだ? 「よし、今日はこの辺で野営にするか」 アルメイダを発って二日目、ストレイライズの森の前で一息ついて、そう提案してみた。 「え、でもまだ夕暮れ前だよ?今日中に抜けちゃった方がいいんじゃ……」 おそるおそる発言したスタンに、黒髪二人の呆れかえったため息が零れる。 「アンタ馬鹿?この森はかなり鬱蒼としてて昼間でも視界が悪いのに、夜になったら何にも見えないじゃない!」 「それに、かなり広い。無闇に入ってここで夜を越す回数を増やしたくはないからな。馬鹿も休み休み言え」 「……ゴメンナサイ」 馬鹿のダブルアタックにしゅんとするスタン。そんな君に、 「うん、まぁ確かに今の発言は馬鹿だったな」 俺からも追い討ちをかけてみた。 「……それよりシェイド、今日は僕が不寝番をするからな」 そんなスタンを歯牙にもかけず、リオンが俺に向かってそう言った。 「別にいいよ、俺が……」 「アルメイダを出てからずっとお前は寝ていないだろうが!いいから言うことを聞け!!」 そ、そんな怒鳴んなくてもいいじゃん。 「だって、眠いと戦闘に影響出るだろ?俺はそんなに眠気が表にでるタイプでもないし……。少なくとも寝不足の俺の方が全開のスタンよりは使える!」 スタンがますます沈んでいるようだ(笑)。 「確かにそれは認める……が、それとこれとは話が別だ」 うわ、認めちゃうんだ。おお、スタンの姿が影に見える。 『そうよ、シェイド。リオンもこう見えて心配してるのよ?』 「べ、別に僕は…」 『あんまり夜更かしばっかり続けてたらお肌荒れちゃうんだから』 アトワイトの言葉に、ルーティが続ける。おそらくは俺に対して一番言ってはならない言葉を……。 「そうよ。女の子なんだからちゃんと手入れもしなきゃ」 「『『………ッ!!!(汗)』』」 横で男どもが固まっているのが見える。まあ……よく分かってんじゃん。 「シェイド?」 ルーティさん、あなたなら三人目になってくれると信じていたのに……!! 「うるせー!!俺は男だっっつ――の!!!」 「「「『男!!?』」」」 もーいいよ。世界なんてキライだ……(泣)。 [back][next] [戻る] |